2試合連続サヨナラ勝ちには、あと1歩届かなかった。9回2死満塁。阪神近本のライナーが中堅手のグラブに収まり、ベンチから飛び出しかけたナインはがっくり。しかし、1万7247人が入ったスタンドからは大きな拍手が鳴りやまなかった。矢野燿大監督(52)は「あきらめない。粘り強く全員で。そういう野球ができた結果、追いつけた」と、0-6から追いついたナインをねぎらった。

   ◇   ◇   ◇

巨人先発メルセデスに5回まで0封されたが、みんながネバーギブアップ。6回から継投策に入った巨人投手陣を攻め立てた。先頭中野が2番手鍵谷から右中間への三塁打。サンズの遊撃へのゴロが敵失を誘ってまず1点を入れた。その後1死満塁と攻め、代打原口の適時打で2点目だ。まだ終わらない。梅野の二ゴロの間に3点目、ロハスの適時打でこの回4点を返した。10人攻撃で一気の2点差。もう勝負は分からなくなった。矢野監督は「本当に代打陣もね。途中からいった選手もよく頑張った」と7回同点打の糸井も含めて適時打を決めた代打トリオをたたえた。

指揮官も迷いない采配で、ベンチの戦力をフルに使った。初回いきなり3点を先制された先発秋山が2回のチャンスで巡ってくると、代打小野寺を送った。結果無得点に終わったが、2番手は藤浪だ。5回に岡本和に3ランを浴び6点差に広げられた。だが、残り5イニングで追いつき逆転するためにその裏、藤浪の代打で出したロハスをそのまま右翼へ。不振の佐藤輝をベンチに下げた。ロハスを残したことが、6回のビッグイニングにつながった。

ベンチの野手は捕手の坂本以外を費やし、総動員で追いついた。矢野監督は「チーム状態がここに来るまでよくなかった。この戦いが今後のいい戦いになる」と手応えを明かした。負ければ首位陥落の攻防戦で2勝1分け。前日も大山の逆転サヨナラ2ランで首位を奪うなど、甲子園を3夜連続の大熱狂に包んだ。大きな弾みをつけて優勝に突き進む。【石橋隆雄】

▼阪神が巨人戦で6点差を追いついたのは、10年4月13日以来11年ぶり。3回までに0-6と敗色濃厚だったが、6回に鳥谷、新井貴、ブラゼルの3本塁打で1点差に。7回に1点を失ったが、8回に桜井とマートンの本塁打で9-7と逆転勝ちした。

阪神ニュース一覧はこちら―>