広島坂倉将吾捕手(23)が7日の中日戦(マツダスタジアム)にも規定打席に到達する。現在打率3割3分で、リーグ1位のDeNAオースティンの打率3割2分4厘を上回る“隠れ首位打者”。7日に4打席立てば、規定打席に到達し、リーグトップに躍り出る可能性も十分だ。「対左投手」「左翼方向安打」「二刀流」から見えた3つの数字と、本人のコメントから今季の成長の理由を探った。【取材・構成=前原淳】

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体のケアでマツダスタジアムを訪れた坂倉は、泰然自若だった。7日の中日戦で4打席立てば、規定打席に到達する。現在、打率3割3分。DeNAオースティンの3割2分4厘を抜いてリーグトップに立つ可能性もある。「全然意識していません。まだ40試合以上あるし、このまま終わるわけがない」。“隠れ首位打者”は表情を引き締めた。

もし首位打者獲得となれば、球団では7人目。球団最年少で、球団捕手としても初受賞になる。すべての成績でキャリアハイを更新し続ける今季の成長を裏付ける、3つの数字がある。

<1>左投手を得意に まず挙げられるのが、対左投手を「打率3割5分8厘」と苦にするどころか得意にしていることだ。昨季、81試合で打率2割8分7厘。対右腕の打率3割2厘に対し、対左腕は2割1分6厘と苦しんだ。今季は左投手対策で、右足を開いて構えている。「昨年よりも入って(向かって)いけるようになった」。今季は対右投手の打率3割1分7厘を上回る成績を残している。

<2>広角に打ち分け 次に昨季の「0」から「3」に増えた数字にある。昨季は3本塁打のうち、左方向への本塁打は1本もなかった。今季は9本塁打中3本が左方向。ミートポイントをやや捕手側に近づけ「ファウルになっていたものを安打にできているのかな」と自己分析する。外野への安打の割合も、左翼方向が昨年の25%から30%に増えた。広角に打ち分ける技術向上で、自身初の2桁本塁打にも王手をかける。

<3>捕手&一塁の二刀流 最後は一塁での先発時の「打率3割3分3厘」。4月9日から捕手だけでなく、一塁との二刀流が続く。本職の捕手先発時に打率3割4分7厘を残し、さらに不慣れな一塁でも安定した打撃を続ける。難しい立場も「与えられたところで、全力で自分がやれることをやる」と受け入れる。一塁での先発28試合はチームでクロンに次ぐ多さ。捕手と一塁の2ポジションでチーム最多出場する可能性もある。

規定打席は通過点。その先には未体験のタイトル争いが待ち受ける。「経験がないからどうなるか分からない。また(調子や数字が)落ちることもあると思うので、変わらずに1打席1打席やっていきたい」。好結果は、決して偶然ではない。規定打席到達は、23歳の新たな挑戦の幕開けを意味する。

◆規定打席数 1軍の規定打席数はチーム試合数×3・1で計算。小数点以下は四捨五入し、143試合制の今季は両リーグとも規定打席数は443。坂倉はここまで315打席。最終的には残り41試合で128打席が必要で、今後1試合平均3・12打席が求められる。

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