首位阪神が、不振の続くドラフト1位佐藤輝明内野手(22)の出場選手登録を抹消する方針を固めた。ヤクルト戦(甲子園)の6回途中に右翼守備から3試合ぶりに出場。2打席連続の空振り三振に倒れ、35打席連続無安打となった。試合は大敗し、2位巨人、3位ヤクルトとの首位争いは混沌(こんとん)としたままだ。残りは36試合。チーム最多23本塁打のルーキーの力は不可欠で、2軍での再調整で打撃を立て直す。

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悩める怪物ルーキー佐藤輝に、ついに断が下された。2試合欠場が続き、3試合ぶりの出場で2打数無安打、2三振。3位ヤクルトに大敗してカード勝ち越しを逃した試合後、矢野監督は今後の起用について「今から考えようかなと思います」と言及した。その後、10日からの広島2連戦(マツダスタジアム)には帯同させず、2軍での再調整で復調を待つ方針を固めた。

事態は深刻だった。9回にヤクルト石山の高め150キロ直球に空振りし、これで今季151三振となった。97年桧山の150を抜いて球団史上3位、球団日本人選手では最多。35打席連続無安打と自己ワーストをさらに更新した。球団新人最多本塁打を更新した8月19日DeNA戦(東京ドーム)で23号を放ったのを最後に自慢の1発も出ていない。

公式戦中断期間に行われたエキシビションマッチでは、バットの左手の握りを変え、構えた位置も低くなるなど改良を重ねてきた。矢野監督、井上ヘッドコーチらが直接指導したほか、佐藤輝も早出特打で浮上のきっかけを模索。矢野監督からは「(出場機会は)奪い取ればいいんじゃない?」とハッパを掛けられていた。結果的に“ラストチャンス”となったこの日も快音は最後まで聞こえなかった。

阪神の2軍は10日に試合がなく、佐藤輝は11日からのウエスタン・リーグ広島戦(甲子園)の出場が見込まれる。そこからの5試合は甲子園で行われ、試合以外の時間も慣れ親しんだ本拠地で調整できる。10日に出場選手登録を外れると、最短で20日から再登録できる。限られた時間でバットを振り込み、心も整えて、早期の1軍復帰を目指す。

この日は6回途中にプロで初めて守備から出場し、右翼に就いた。「ライト 佐藤輝明」とコールされ、スタンドから大きな拍手を浴びた。不振の中でも期待は変わらない。身に染みて感じているのは、他でもない本人だろう。チームトップの23本塁打の打棒の復活が、16年ぶりのリーグ制覇には不可欠。優勝戦線に万全の状態で戻って来るため、プロ初の2軍降格を自らのカンフル剤にする。【中野椋】

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