広島鈴木誠也外野手(27)が阪神17回戦(マツダスタジアム)で2打数無安打2四球に終わり、連続本塁打が6試合で止まった。

第1打席は四球、第3打席も申告敬遠。ほか2打席は遊ゴロ、三ゴロに倒れ、巨人王貞治、阪神バース以来の7試合連続アーチのプロ野球記録はならなかった。チームは敗れ、5位に後退した。

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7回2死一塁から、鈴木誠の打球が三塁へのゴロとなった瞬間、スタンドからため息がもれた。3日から続いた連続本塁打は、プロ野球記録にあと1試合及ばなかった。

ただ、らしさを貫いた。5試合連続で本塁打を記録していた第1打席は、フルカウントから外角球を見極めた。3回の2打席目はカウント3-1から一塁塁審にスイングの判定をされるも、四球を選ぼうと我慢した(結果7球目を遊ゴロ)。2点差の5回2死二塁は申告敬遠。偉大な記録がかかった試合でも、チームのためにプレー。試合後も「負けたので、仕方ないです」と、チームに貢献できない悔しさをにじませた。

もともと、個人記録にあまり興味がない。だが今季、チームは振るわず、シーズン序盤から下位に低迷。自身も前半戦は新型コロナ感染やワクチンによる副反応などの体調不良あり、思うような打撃ができなかった。シーズン終盤にようやく手応えを感じ始めた。連続本塁打の記録を伸ばしても「フォア・ザ・チーム」の精神は変えなかった。

6戦連発はランス、新井と並ぶ球団記録。新井は15年から18年までともにプレーし、4番道を学んだ先輩でもある。あの日の見た後ろ姿を、今は自分が後輩に示そうとしている。スタメンに後輩が増えたときには「僕が打てなくなるとサク(5番坂倉)が勝負を避けられて打撃が難しくなってくると思う。僕が若いときは新井さんたちがいたからいい結果を残せていたのだと思う」と主軸の自覚を口にした。自分のためではなく、チームメートのため。その姿も、若手のかがみになる。

結果に一喜一憂することなく、目の前の1球、1打に全神経を注いだことで、6試合連続本塁打を積み重ねた。記録が止まっても、鈴木誠は鈴木誠であり続ける。新たに視線を据えるものは、次の1球、次の1スイングだけだ。【前原淳】