西武今井達也投手(23)が、今季チーム初、自身2年ぶりの完封勝利で自己最多タイの7勝目を挙げた。その瞬間、思わず「危ねぇ」。9回は2死満塁の大ピンチ。心の中では「最後までいきますって言っちゃった…」と、焦っていた。7回終了時に西口投手コーチから「どうする?」と問われて完封志願していた。ここで打たれたら、ふがいない。強気を振り絞り、最後もしっかり腕を振ってゼロを並べきった。

後半戦は5度目の先発で初勝利となった。過去2戦はどちらも7失点。背水の覚悟で臨み、悪い流れを変えるべく、3つの変化があった。

(1)グラブ。後半戦から新たな試合用グラブで臨んでいたが結果が出ず、この日は「前半戦に使っていたやつ」に原点回帰した。

(2)ズボンの裾上げ。「(地面に)引きずるのが気になっていて、足回りをスッキリしたら変わるかな」と、関係者に裾上げを依頼。スパイクに掛かる長さから、かかと付近まで上げた。

(3)最初から最後まで全力投球。脱力投法がはまった時もあったが、この日は試合前に森から「3回でバテていい」と、最初からボール先行でも強い腕の振りを求められた。忠実に守り、制球を大きく乱さずにプロ最多142球。5年目で初の2桁13三振を奪った。

最速155キロの直球を軸に6回までは無安打無得点だった。7回先頭で大記録への道は途切れて「悔しいですよ」と苦笑いも、2年前に「令和初」の快挙以来の完封勝利は手放さなかった。「次もいい投球ができるように」。次週は8月に完投負けした京セラドーム大阪で、オリックスを討つ。【木下大輔】

▽西武辻監督(チーム今季初の完封勝利を挙げた今井に)「見事だったね。見ていて気持ちが向かっているなという感じを受けた。ああいう感じでいったら力まずも抑えられると本人も感じ取ってくれたなら、次にまた大きな力となると思う」

▽西武スパンジェンバーグ(4回に後半戦初安打となる6号2ラン)「チームに勢いをつける追加点を取ることができて良かったよ」