これが4番の仕事だ。阪神ジェフリー・マルテ内野手(30)が、先制決勝の3ランを放った。0-0が続いた6回、均衡を破る特大の17号にマツダスタジアムの阪神ファンが沸いた。マルテも興奮を隠せず、先走った。ベンチ前で後半初の「ラパンパラ」。後ろでサンズとハイタッチしていた福原コーチらは間に合わなかった。フライングしてしまうほど、約2カ月ぶりの本塁打パフォーマンスは、格別だった。

 

マルテ みんながいつも元気をくれてモチベーションになっている。ラパンパラを一緒にやるために、しっかりと強い打球を打ちたいと思っていた。

 

6回無死一、二塁。2打席連続三振を喫していた左腕高橋昂を捉えた。カウント2-2。142キロ直球を振り抜くと、打球は左翼席3階コンコースまで飛んだ。7月9日の巨人戦(甲子園)以来の会心弾。後半戦初アーチの新4番に、矢野監督も「久しぶりのラパンパラでベンチもタイミング一致するのがなかなか難しかった。でも最高の形で打ってくれた」とにっこりだ。

球宴後に一時帰国し再来日後、2軍調整していた8月のこと。ウエスタン・リーグで2本のアーチを描いた際は、控えめな「ラパンパラ」だった。欲していたのは1軍の舞台。「ずっとこれを待ち望んでいたよ」。納得の一打で、好投していた秋山に大きな援護点をプレゼントした。

「打順に関してはそこまで意識していない。打席でしっかりゾーンを狙うことだけを意識しているんだ」。9月は打率2割2分2厘。4番に入った3日の巨人戦(甲子園)から7試合連続で打点がない中、爆発の時を探してきた。3回2死一、三塁の先制機は悔しい見逃し三振。優勝戦線を引っ張る4番の意地が、打球に乗り移った。

「最後までしっかり戦っていくだけ。ポジティブな気持ちで優勝を目指す」

ベンチとの「ラパンパラ」のタイミングが合えば合うほど、「優勝」に近づいていく。【中野椋】