「エースとは」の究極の問いに、結果で答えを出した。巨人のエース菅野智之投手(31)が、自身3度目で今季初の中4日の先発で、7回を5安打1失点。チームの連敗を6でストップした。9戦勝ち星なしの今季最大の逆境の中で「粘り強く投げられた」と、再びはい上がる白星をたぐり寄せた。

 

振り返れば、2年前の19年1月。自主トレ先のハワイの青空の下で「エースとは」の究極の問いの答えを模索した。背番号が「19」から「18」への変更が決定。「ずっと、答えを考えてたんですけど、最近、これだと思ったんです」。

最初に挙げたのは、チームに勇気と希望を与えることだった。「高校野球とかを見てると、劣勢の時や格上が相手でも、エースの投球がチームに力以上のものを与えたりする。現状を打破し、チームに勇気、希望を与えられるのがエースだなと」。

2番目に挙げたのは、信頼と安心感だった。「極論で言えば、マウンドに上がる前にエースの仕事は終わっていると思うんです。試合前に、周りが『菅野なら大丈夫』『何とかしてくれる』と思ってくれるか。そんな雰囲気を作れるのがエースなのかなと」。

最も語気を強めたのはチームの勝利だった。「1番目、2番目の要素を持っているということは、すなわち勝てる投手」と言った。2回に鈴木誠にソロを浴びたが、3回以降は最速152キロをマークし、試合の流れを読みながらギアを上げ、小林の1発を呼んだ。「どれだけ腹くくって、自分の仕事が、力が発揮できるか」。エースはマウンドで覚悟を示す。【久保賢吾】

▼17年以来となる中4日の先発登板で勝利した菅野だが、鈴木誠には今季5本目の被本塁打。同じ打者にシーズン5本塁打以上も許したのは、18年に松田宣(ソフトバンク)に打たれた十亀(西武)以来。巨人の投手では03年上原が緒方(広島)に打たれて以来、18年ぶり7人目となった。広島相手に限ると、山本浩に6本打たれた80年江川、前記上原に次いで3人目。

▽巨人宮本投手チーフコーチ(中4日での菅野の好投に)「彼のプライドっていうかね。そういうのを見せてもらえたかなと思いますね」