ユニホームを風になびかせながら、エースが仁王立ちした。ソフトバンク千賀滉大投手(28)が8回途中1失点の好投で6勝目を挙げ、チームを2連勝へ導いた。

5回までは二塁も踏ませず、7回無死一塁からは3者連続空振り三振。直球、カットボール、お化けフォークでロッテ打線を沈黙させた。

この日ZOZOマリンでは中堅からホーム方向へ風速10メートル前後の強風が吹いていた。強風にあおられると、当然投球にも影響は出る。4回レアードの4球目には、バランスを崩して捕手甲斐が取り損ねるほどすっぽぬけた。それでも千賀は「とにかく僕は『風と仲良くなろう』をテーマに中盤から投げて、それがうまくいったところもあるかな」と、笑って言う。「千葉マリンで強風の時、僕はほぼ勝っていると思う。風を生かせるように、今日は風と友達になれるように頑張りました」。詳細は明かさなかったが、自然現象を味方につけて快投を演じた。

球数が100球前後だった8回、先頭の代打佐藤都に三塁打を許したが「今日は本当に風が強かったので、リリーフが投げるとおかしくなっちゃう。『いけるところまで行きたいです』と言いました」と、続投を志願。内野ゴロの間に1点を失うも2死まで奪い、モイネロ、森と必勝パターンへつないだ。

今季ロッテには、試合前の時点で2戦2敗、7月6日には自己ワースト10失点を喫していたがリベンジに成功。チームとしては8月18日楽天戦以来、10カードぶりの初戦白星。エースが連勝街道への流れをつないだ。【只松憲】