法大・山下輝(ひかる)投手(4年=木更津総合)は、ヤクルトが外れ1位で指名した。広島とヤクルトが入札し2球団競合となったが、高津臣吾監督が右手で当たりくじを引き当て、右手を高々と上げた。

「未完の大器」という言葉が、ふさわしい。1年春に左肘を痛め、その年の12月にトミー・ジョン手術。リハビリを経て、東京6大学リーグ戦デビューは3年春までかかったが、今春はついに初完投を果たした。最速151キロの大型左腕として、今後が楽しみだ。

目標とする選手には、高校の先輩である楽天早川を挙げる。「マウンドで全然、顔に出さない。平常心、ポーカーフェースを高校からずっと見てきたので、見習いたいです」。投手がピンチに弱気を見せたら、チームに響く。逆に、ここぞの場面では気合の入った声を出しながら投げるのが、山下のスタイルだ。

その先輩からの金言を胸に刻む。「高3の夏大会が始まる前に、早川さんからラインをいただきました。『ピッチャーが、チームの柱が崩れると、チームが崩れてしまうよ』と。自分の中で響きました。マウンドに立った人間が、チームの柱だと思っていますので、それは崩さずにいきたい。相手にスキを見せてはいけないと思います」と受け止めた。

高津監督は「すごく真っすぐに力があり楽しみな投手。左投手が少ないチーム事情に、すごくマッチした選手」と評価した。

千葉・木更津市出身、188センチ、100キロ、左投げ左打ち。