「ノーヒットノーラン引き分け」から一転、ヤクルトが執念のサヨナラ勝利でマジック点灯に王手をかけた。9回1死から塩見泰隆外野手(28)が、チーム初安打となる左前打で出塁。二盗に成功してチャンスを広げると、2死二塁から山田の遊撃内野安打の間に一気に生還。サヨナラ勝ちに貢献し、2位阪神と2ゲーム差に広げた。8日からは本拠地に迎えて首位攻防戦。初戦に勝利すると、待望のマジック11が点灯する。
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駆け抜けた。9回1死一塁。一塁走者の塩見は、盛り上がる球場とは対照的に、冷静だった。「クイックとか加味して(盗塁)成功する確率が高いんじゃないかと思った」。2番青木の2球目で二盗を成功させるまで、巨人ビエイラから3度のけん制を受け、2度プレートを外して仕切り直された。徹底的に警戒された中での1プレー。「今年一番の盗塁だった」と笑顔をはじけさせた。
リーグ3位の21個目で1死二塁とし、2死後山田の打席で、ボテボテのゴロが遊撃前に転がった。ため息が漏れる中、無心に三塁ベースを蹴って本塁突入。ショートバウンドの送球を一塁手若林が捕球できず、サヨナラのホームを踏んだ。塩見は「めちゃめちゃ気持ち良かった」と頭上で手をたたいて、跳びはねた。帝京大時代には、相模原市の練習場裏に突如出没したイノシシに脚力対決を挑んだ逸話を持つ“野性児”。プロ入り後もチーム屈指の快足を誇り、今季は1番に定着した。第1打席の登場曲は、すぎやまこういちさん作曲の「東京&中山競馬場のG1ファンファーレ」。サラブレッドばりに駆け回った。
投げ抜いた。投手陣は先発原が6回1死走者なしから左ひざ下に打球が直撃するも続投。6回無失点でつなぐと、7回からは今野、清水、マクガフが無安打0封リレー。サヨナラ勝ちに導いた。高津監督は「ラッキーなサヨナラにはなりましたけど、そこまで持っていけたピッチャー陣を評価していいのかな」とたたえた。チーム防御率は8月末まで3・70だったが、9、10月は2・44に向上。10月6試合では1・83と、抜群の安定感が絶好調のチームを支える。
チームは10月不敗で6連勝。勢いに乗って、8日からは2位阪神との3連戦に挑む。最短で8日にもマジック11が点灯。6年ぶりの優勝が見えてきた。指揮官は「勝つことしか考えていないです」とキッパリ。並々ならぬ覚悟で、天王山に挑む。【湯本勝大】
▼ヤクルト○、阪神●の結果、ヤクルトは今日からの阪神3連戦で1勝か1分けすればマジックが出る。今日の試合に勝てばM11、引き分けでM12が点灯し、阪神に3連敗した時だけM点灯が持ち越しとなる。
▼ヤクルトのサヨナラ勝ちは今季3度目で、1-0のサヨナラ勝ちは12年9月2日中日戦以来、9年ぶり。これで9月以降のヤクルトは19勝8敗5分けとなったが、19勝のうち完封勝ちが7試合で、ほかに0-0の引き分けが1試合。9月以降のヤクルトは投手陣が無失点に抑えたのが8試合もある。