お待たせしました! 日本ハム宇佐見真吾捕手(28)が9日ロッテ戦(札幌ドーム)の6回、右越えに今季1号ソロを放った。ここまで打率0割台と苦しんでいた男が、待望の1発で貴重な追加点を奪取。守っては初回無死一、三塁のピンチで二盗を刺すなど、攻守にわたる活躍でチームを連勝に導いた。

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ダイヤモンドを1周すると笑みがこぼれた。宇佐見は、3-2で迎えた6回の第3打席。1ボールからの2球目、真ん中高めの直球を捉え右翼席へ、たたき込んだ。待望の今季1号に「入るとは思わなかった」と驚いた。直前の2打席目では右脇腹に死球を受けてもん絶。「イッテー!」と、絶叫が球場にこだましたばかりだった。痛みをものともしない1発に、ベンチの栗山監督も笑いをこらえられなかった。

続く4打席目は、引っ張りから一転、左前に流し打って、今季初のマルチ安打。「引っ張った後に、しっかり逆方向に打てた。いい感じになってきていると思います」と力強く話した。

今季は開幕1軍も、試合前の段階でわずか2安打。5月8日の楽天戦(札幌ドーム)以来快音が響かず、打率0割台と極度の不振に陥っていた。「真っすぐをファウルにして、変化球で三振の繰り返しだった」と5月には登録抹消。2軍で打撃フォームから見直し、直球に振り負けないことを意識してきた。それでも、すぐには成果が出なかった。9月に1軍再昇格も、10日のソフトバンク戦(札幌ドーム)では元同僚のマルティネスの直球に差し込まれ、力不足を痛感。この日、久々の活躍に「自分で考えながら少しずつ変えて、ようやく結果が出てよかったです」と、安堵(あんど)の表情を見せた。

守備でも投手陣を助けた。1回に先発バーヘイゲンが連打を許して、無死一、三塁のピンチ。リーグ最多24盗塁を決めている一走の和田が初球から二盗を試みたが、宇佐見の好送球でアウトに仕留めた。「ロッテには去年6盗塁をされていたので、和田君を刺せたのは良かったです」。

栗山監督は「もともと守りの方はしっかりしている捕手。打つ方で苦しんでいたので、本塁打を打って、これからは落ち着いて野球が出来ると思う」と、うれしそうにほめた。来季へ向けた正捕手争いは、もう既に、始まっている。【小林憲治】