九州アジアリーグの火の国サラマンダーズ(熊本)の最速155キロ左腕、石森大誠投手(23)は、中日から3位指名された。球団創設初年度でのドラフト指名。将来的な最速160キロ到達と、中日のエース襲名を誓った。

報道陣が30社60人、ファン30人が詰めかけた前熊本市内のホテルで会見。指名直後はポーカーフェースだったが、実は「心臓の音が聞こえるぐらい緊張した」ほどドキドキだった。3位指名には「自分的にはもう少し順位は上かと思っていた」と負けん気の強さをのぞかせた。

プロでの目標については「160キロを出してプロ野球界で一番速い左腕になりたい。来年から1年、即戦力として投げたい」と意気込んだ。

対戦したい打者については「ヤクルト村上選手と対戦し、真っすぐで三振を取りたい」とし、球界を代表する若手スラッガーとの対戦を心待ちにした。中日の印象を問われ「左はエースの大野投手や、同級生の小笠原投手がいる。追いついて追い越したい」と活躍を誓った。

リーグ・交流戦では、36登板全て救援で2勝1敗19セーブ。36回1/3を投げ、防御率1・73、63奪三振をマークし、5月のソフトバンク3軍戦で自己最速を更新した。今月、ピッチングGMから監督に就任したソフトバンクとオリックスで通算182セーブの馬原孝浩氏(39)から下半身の使い方などを指導され急成長を遂げた“火の玉ストレート左腕”が、いよいよ球界の日本最高峰の舞台に立つ。

最速149キロだった東北公益文科大時代にプロ志望届を提出も、調査書も届かず指名漏れ。当時は「制球難が課題だった」と悔しさをバネに、社会人の熊本ゴールデンラークスをへて、同チームを母体に創設された新球団「火の国-」で再起を期し夢をつかんだ。

「野球人たる前に社会人たれ」というリーグコンセプトもあり、昨夏の豪雨水害で甚大な被害を受けた熊本・人吉市の復興支援にボランティア参加するなど社会貢献活動に携わってきた。プロで活躍することで、お世話になった熊本へ活力や勇気を届ける覚悟だ。【菊川光一】