日本ハムからドラフト7位指名を受けた瞬間、大阪桐蔭・松浦慶斗投手(3年、旭川明星中出身)の目には、せきを切ったように涙があふれた。チームメートの池田陵真外野手がオリックス5位で指名され、なかなか名前が上がらずに不安だった。

「子供の頃は札幌ドームで日本ハムに夢をもらいました。今度は自分がファンに夢を与えることのできるような選手、日本球界を代表するような選手になりたいです」

北海道出身の父吉仁(よしと)さん(49)が社会人野球、日本製紙石巻に所属した関係で宮城県内で生まれた。11年東日本大震災で被災し、家族でルーツの旭川市に移り住んだのは、松浦が小学3年の春だった。

プロ野球にあこがれ、ファイターズジュニアに所属。吉仁さんは被災を機に引退。母美雅(みか)さん(49)は「自宅のリビングでバドミントンの羽を上げたり、机とイスをずらしてシャドーピッチングをしていました」と親子鷹の姿を見守ってきた。

大阪桐蔭に入学したことを西谷監督は「かなりの覚悟だったと思う」。今夏の甲子園大会1回戦は東海大菅生(西東京)に7回4失点(自責3)で勝利も、敗退した2回戦の近江(滋賀)では登板がなかった。

西谷監督は「まだまだ伸びしろがある。プロに入って何年か体作りをしてという時代は終わっている。1年目から活躍するつもりで準備をしてほしい」とゲキ。最下位からの再建が求められる日本ハム。北の大地で羽ばたいてみせる。【寺尾博和】