オリックスが、宗佑磨内野手(25)の劇的な同点8号2ランで7年ぶりのAクラスを確定させた。

0-2で迎えた8回2死一塁で、ロッテ小島の初球ストレートを右中間スタンド3階席前のカベにぶつける同点弾。ロッテとの首位攻防3連戦の初戦を勝ちに等しい引き分けで終え、7年ぶりの優勝マジック点灯にも王手をかけた。

一撃の瞬間、小島はマウンドに沈み、宗はほえた。「1、2打席目にチャンスで凡退していて、すごい悔しかった。2点負けてますから思い切っていくしかないと思って、腹決めていきました」。ベンチに戻ると、涙が止まらなかった。

起死回生弾を打つまでは、自分を責めていた。初回無死一塁、3回1死一、二塁で内野ゴロ併殺に倒れた。直後の4回、ロッテにレアードの先制26号弾が飛び出した。「流れを渡してしまった」。情けなくて、顔を上げられなかった。

同い年の田嶋が、必死に投げていた。普段なら田嶋がピンチを迎えると、三塁から宗がマウンドに声かけに走る。だがこの日は懸命に腕を振り、ロッテの攻撃を2点で食い止める姿に励まされた。T-岡田の声にハッとした。「今日は、お前の日やで」。コーチの声も聞こえた。「1発で同点、逆転もある。あきらめずに行こう!」。導かれるように、劣勢をはね返す1発を飛ばした。「よく取り返したと思います」。中嶋監督も手をたたいた。

試合前。「優勝に向かってカツ」のメッセージ入りで、吉田正からチームにカツサンドが届いた。負傷離脱したメンバーも、心一つに戦っている。「残り少ない試合を全員で戦っていきたいなと思います」と宗。25年ぶりのリーグ制覇へ、まずはマジック点灯だ。【堀まどか】

▽オリックス中嶋監督(首位攻防戦初戦を引き分け)「あと9試合しかない。それをなんとか勝ちきれるように頑張っていきたいと思います」