ベテランがあと1アウトに泣いた。ヤクルト石川雅規投手が、5回途中を4失点で無念の降板となった。

今季2度目の中5日での先発登板。1回2死二、三塁のピンチを無失点で切り抜けると、2回から4回まで無安打に封じた。コーナーを丁寧に突く投球。表情を崩さず、腕を振った。

突如、1点リードの5回につかまった。2死二塁で根尾に同点適時打を浴びると、続く岡林には、一塁直撃の二塁打、大島には四球を与えて2死満塁のピンチを招いた。ビシエドには、フルカウントから低めのシンカーを拾われ、勝ち越しの2点左前適時打を献上。高橋周に中前適時打を浴びたところで降板となった。高津監督からは「投げ急いでいるようにも見えなかったし、特別あの回だけという風には見えなかった」。ベンチに下がると、唇をかみながら戦況を見守った。

なかなか援護に恵まれない。試合前時点で、後半戦8試合に先発し、防御率は1・87。抜群の安定感を見せるも、1勝1敗と白星につながらない。「めちゃめちゃ勝ちたいですよ。先発としてこれでいいということはない。もちろんチームが勝てばいいですけど、やっぱり勝ちがほしい」と本音を漏らしたこともある。

それでもチームのためにゲームメークをすることを心がけてきた。この日こそは無念の降板となったが、今季を通じて15試合で防御率2・60。優勝へと突き進むチームを支えている。【湯本勝大】