聖地胴上げは許さないんダ~ン! 阪神は首位ヤクルトを甲子園に迎え、16安打11得点で粉砕した。決勝打は初回に先制3ランの近本光司外野手(26)で、プロ3年目で初の10号。普段の1番から3番に入った選手会長が、4カ月ぶりの2桁得点を呼んだ。甲子園での胴上げを阻止し、1・5差に接近。20日もヤクルトに食らい付き、逆転Vの望みをつなぐ。

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近本の先制3ランが猛虎打線を着火させた。1番島田、2番中野の連続安打で1回無死一、二塁。投球練習から上ずっていたヤクルト先発奥川の直球を見逃さなかった。1ストライクから高めに抜けた146キロをシャープに振り抜き、右翼席最前列に運んだ。

「最高の結果でした。打ててなかったピッチャーでしたし、1番、2番がチャンスをつくってくれていたので僕がなんとかつなげるようなバッティングをしようと打席に入りました」

試合前時点で奥川は阪神戦の防御率が1・99、甲子園での防御率も0・64。打線が苦にしていた相手だった。試合前、選手会長の近本は円陣の中心に立ち、ナインを鼓舞した。「今日も失敗を恐れず、攻めて、攻めて、攻めていこう! さあいこう!」。バットで、言葉でナインを引っ張り、その奥川を4回途中で引きずり下ろした。

自身3年目で初の10号。「良いところで打つことだけを意識していました。打った時はうれしかったです。2年続けて9本塁打だったので2桁本塁打に乗せることができて良かった」。ベンチ前では左手で「1」、右手で「0」をつくり、ナインと喜びを分かちあった。両リーグトップの安打数を178まで伸ばし、打率は3割1分5厘で首位打者の広島鈴木誠に7厘差で食らい付いている。

絶対に負けられない一戦だった。今回のヤクルト2連戦に連敗すれば、本拠地甲子園での胴上げを許していた。主砲の大山がベンチスタートとなり、近本はリードオフマンではなく3試合ぶりに「3番中堅」に抜てきされ、立ち上がりで期待に応えた。終わってみれば16安打で、6月9日の日本ハム戦以来の2桁となる11得点の大勝だった。

優勝マジック4のヤクルトには1・5差に迫った。矢野監督は「うちは勝つしかない。ゲーム差関係なく、明日をどう勝つか。明日勝ったらもっとおもしろいことになると思う。明日もう1回、全員で(勝利を)もぎ取りにいきます」と声を張った。残すは5試合。逆転Vへ望みはつなげた。【前山慎治】

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