パ・リーグはオリックスとロッテの白熱の優勝争いが続くが、球界の名物オーナーで知られるオリックス宮内義彦オーナー(86)も、25年ぶりの“そのとき”を心待ちにしている。

95、96年の連覇のあと、ときには厳しく、不変の愛情を持ってチームを見守ってきた。折々のオーナー語録を振り返る第5回。06年は前年度までGMだった中村勝広氏を新監督に据え、清原和博、中村紀洋ら球界の顔をチームに迎えてはなやかなスタートを切った。ただなかなか成績は好転せず、宮内オーナーにとっても耐えるシーズンが続いた。

【2006年】▽2月18日 春季宮古島キャンプの紅白戦で新主砲・清原の3ランを目の当たりにし「あまりボクが興奮してはいけないのですが、胸躍る1年になりそうな気がします。清原選手が人気があるのは、大勝負に強くて大舞台で頼りになるから」と分析した。

▽同19日 この日は中村の移籍後初安打を目に焼き付け「昨年は8月でしんどくなったけれど、そうなると球場に行かなくていいと思ってしまった。今年はいい成績を残すはずなので、昨年の倍は行きたいですね」と、強いオリックス復活への期待を抱いて宮古島をあとにした。

▽3月26日 早朝に海外出張から帰国し、西武戦を観戦。8回に出た清原の二塁打に「見事な当たりでした。ご覧の通りリーダーシップを発揮してくれている」とうなずいた。

▽4月18日 日本ハム戦を観戦し、清原獲得の裏話を吐露。「仰木さんの魔力ですよ。ボクは最初はまったく(獲得することが)頭になかったんだけど、仰木さんが熱心でね。こうなるのを読んでいたんだろうね」と、前年末に亡くなった仰木前監督をしのんだ。

▽6月12日 横浜に敗れ、3度目の4連敗で借金は最多の11に。オーナーは覇気のない戦いを見ていられず「厳しいねえ。今のチーム状況? ご覧の通り」と途中退席。

▽8月15日 借金20目前の不振の中、中村監督について「まだシーズンを戦っている最中。すべてはシーズンが終わってから」と残り試合を見守る構えを示した。清原については「うちの大看板ですから。(今季は)無理をして予期せぬケガもありましたが、来年も期待しています」と、来季も中心選手と考えていることを断言した。

▽9月27日 中村監督の辞任の意思を受け、球団を通じ「小泉球団社長から、今シーズンのチーム成績低迷の責任をとって辞任したいという、中村監督の意志が固いとの報告がありました。毎年のように監督が代わるのは、チーム強化において得策ではありませんが、やむなく、これを受諾しました。残念ながら、チームは不本意な成績が続き、ファンのみなさまには申し訳なく、おわび申し上げます」とコメント。

▽10月23日 中村監督の辞任を受け、メジャーで監督経験のあるテリー・コリンズ氏を3年契約で招へい。「種をまいて、水をやって、花を咲かすという論法もありますが、うちはファンが待ってくれない。随分待たせていますからね」と、いきなりプレーオフ進出を要望した。

【2007年】▽1月7日 前川が交通事故をおこし、球団を通じて「世間をお騒がせして、まず申し訳ないです。被害者の女性が軽傷であることを願うばかりです」とコメント。

▽2月17日 春季宮古島キャンプで紅白戦を観戦し、コリンズ監督とも談笑。「有望な若手の名前を何人も挙げてくれたし、情熱家で長期的なチーム作りにいいと思います」と持ち上げた。

▽3月8日 「オリックス激励パーティー」でコリンズ監督にAクラス入りを厳命。「去年は某チームと6位争いするまで落ちた。いい加減にしてくれという思いもあるし、Aクラスは今年直ちの目標にして欲しい。3年契約だからといって、3年目に勝てばいいというものではない」と厳しい口調でノルマを突き付けた。また年明け早々の無免許ひき逃げ事件の「前川問題」を謝罪。「シーズンも残念な結果でしたが、オフはストーブをにぎわすニュースが多く、ご心配おかけしました。指導が不足していたと反省し、お詫び申し上げます」と頭を下げた。

▽同26日 本拠地初勝利に「監督は若い選手をうまく使ってるし、バット1本で乗り込んできた選手(ローズ)も頑張ってる。今年は楽しみ」と大喜び。ただ1万2055人止まりだった観客動員には「これでも本拠地開幕か」と関係者に不満も。

▽5月18日 フロント編成部を大刷新することを明言。95、96年の連覇時の井箟(いのう)重慶元球団代表を球団アドバイザーで再招へい。「完全にチーム作りの失敗。外国人もトレードもどっちも間違っていた。監督に戦えるチームを渡していなかった。(井箟氏は)日本一のチームを作った時の代表。手伝ってくれとお願いしたら、快く引き受けてくれた。色んな知恵を借りたい」と低迷分析。コリンズ監督については「3年やってもらうつもりです」と続投を明言した。

▽同31日 フロントのチーム編成に、再び不満を爆発させた。巨人移籍の谷、ロッテ移籍の早川、自由契約で中日入りの中村の名前を列挙し「うちを出た3人の活躍ぶりを見ると、トレードはことごとく失敗。「早川は私が(トレード責任者から)聞いていた実力の情報とは全然違った」と不快感をあらわにした。

▽8月31日 最下位に終わってもコリンズ監督を来季続投させると明言。「3年、3年やってもらいます」とキッパリ。「最下位でもか」の問いにも「そういうこと」と語気を強め「私は常に1位であって欲しいんです」と奮起を求めた。

▽9月3日 最下位低迷チームへの血の入れ替え断行を予告した。補強課題に機動力を挙げ「足ですわ。足で勝つ試合はそんなにないけど、今のチームには足がないでしょう? 一昨日も足があれば勝ってた。過去は強かったけど今は他球団から弱い印象さえ植え付けられている。そこを何とかしないかん」とフロントに呼びかけた。

▽同26日 8年連続Bクラス確定に不快感。「チームづくりの失敗。トレードも下手したらアカン」と断罪し「若い選手が後半になって出てきたけど、もっと早い段階で出てこれるように秋口から鍛えていかないと」と、昨秋のコリンズ新体制発足から明確なビジョンがなかったことを嘆いた。

▽10月4日 ドラフトで大阪桐蔭・中田のクジを逃し、嘆き節。「まさか最下位になるとは…。中田君も残念。クジも外れて落ちるところまで落ちましたな」と自虐的な笑いまで見せた。

▽同5日 コリンズ監督から3年ぶりの最下位に終わったシーズンの報告を受け「来年はコリンズ・スタイルというものを出してほしい。米国流とか日本流とかではなく、コリンズ・スタイルでチームを引っ張ってほしい」と苦言。

▽11月19日 西武カブレラの獲得調査を続けている中、オーナーは「カブレラ? 知ってますよ、よく打たれたから。ふたを開けたら(補強は)大型になるか小型かは分からない。球団の予算内でやってますから」と、あくまで球団の予算内で新外国人を獲得する意向を示した。

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