パ・リーグはオリックスとロッテの白熱の優勝争いが続くが、球界の名物オーナーで知られるオリックス宮内義彦オーナー(86)も、25年ぶりの“そのとき”を心待ちにしている。95、96年の連覇のあと、ときには厳しく、不変の愛情を持ってチームを見守ってきた。折々のオーナー語録を振り返る第7回。2009年オフ、成績不振で監督は大石大二郎監督から岡田彰布監督に交代した。10年は交流戦で優勝するなど、宮内オーナーにとっても終盤まで心躍らせるシーズンとなった。

【2009年】▽2月14日 恒例の春季宮古島キャンプ視察で「この1年で随分チームが変わった。去年の成績(9年ぶりAクラス)も自信になったんじゃないか。昔の強いチームに返った感じだ」と優勝への手応えを口に。

▽3月12日 後援会や橋下大阪府知事ら約1000人が出席した激励パーティーで「今年は大変な世界不況。我々大阪のチームが優勝して、頑張ろう日本、頑張ろう大阪の先頭に立つつもりで戦いたい」とあいさつ。

▽4月18日 オリックスの社員優待デーで、近鉄から楽天入りした岩隈に抑えられ「今日はボロ負けですねえ」とポツリ。

▽6月16日 2桁借金を抱えて最下位に低迷するチームに「弱いねえ」とため息。12球団ワーストの防御率5点台に沈む投手陣に「もうちょっとうまい使いようがあると思う」と苦言を呈した。

▽同27日 楽天に大敗し、初めて自力優勝の可能性が消滅。試合前には監督室で大石監督に約10分間の“事情聴取”。巻き返しへの青写真を確認した矢先だっただけに、試合後は「しょうもない試合だった。自力V消滅? 寂しいね。今度は投手を全員代えないと」と厳しいジョークを交え、不機嫌さをあらわに。

▽7月6日 チームの目標を優勝から「今の時点で3位にいるなら優勝と言えるけど、こうなれば3位を狙うと言うしかない」と下方修正。一方で、リーグ戦再開後4勝4敗の戦いには「投手がめちゃくちゃにならなくなった。(成績も)もっとマシになるでしょう」と手応えも。

▽8月5日 御前試合で楽天藤原に「27人切り」を許し、借金18で今季ワーストを更新。「18? それはすごいな。今日は何もありません。ノーヒットノーランがあるかもと、楽しみにしていたよ」と自虐的な笑いで取材陣を凍り付かせた。

▽10月9日 大石監督の退任が決まり「主力のケガや不調もあり、満足な形で戦っていただけなかったことを残念に思いますが、チームをよくまとめ、若手育成などに頑張っていただいたことをあらためて感謝します」とコメント。

▽同28日 岡田新監督が「優勝を狙ってスタートする」と就任のあいさつ。「今まで多くの指導者にお願いしてきたが、仰木さんは芯のあるチームづくりをしてくれた。岡田さんにもじっくりとやってもらいたい」と長期政権を期待。さらに「監督が言っていた茶髪禁止は私も同じ意見。それと全力疾走しない選手は値打ちがない」と選手に規律と厳しさを求めた。

【2010年】▽2月13日 2月5日に小瀬浩之外野手(享年24)が宿舎で転落死。春季宮古島キャンプ視察で、悲報があったことにふれ「厳粛な気持ちでご冥福を祈ることも大事だし、忘れようという話でもない。ただ、この経験を通じて1人1人が前向きに人生を考え直して、自分の仕事に取り組んでほしい」と選手に語りかけた。チーム状況については「(岡田)監督は非常に分厚い選手層だと手ごたえを感じられていた。私もワクワクしている」と期待感を口にした。

▽3月11日 オリックス球団主催の「激励会」が開かれ「昨年も優勝すると言いました。2度ウソを言うと舌を抜かれる。オーナーにウソをつかせないチームをつくってくれると信じている」と壇上から岡田監督にV指令を出した。

▽同20日 楽天との開幕戦を観戦し、新体制のスタートを満足げに見つめた。「接戦を何とか勝ったのは非常にうれしい。今日のところは大いに(今季に)期待したい。新しいチームができたと実感しました」と試合後は岡田監督とがっちり握手した。

▽5月23日 交流戦の好調ぶりを評価。「選手がひたむきにやっている。トレードで来た選手とかがね。それでこうなっている(交流戦6勝3敗)んだと思う」と満足そう。観戦試合の勝率が高いことには「ツキが落ちちゃうからあんまり言わないで」とご機嫌だった。

▽6月13日 交流戦制覇に「シーズンはまだ長い。これが上昇気流のいいきっかけになってくれればうれしい。借金を完済して貯金までできた。パは(交流戦)上位ばかりで手ごわいけど、今年は秋を期待しております」とコメント。

▽8月5日 T-岡田の活躍で3位に浮上し「とにかくすごい。本当にすごい。ただただ感嘆しています。優勝狙える? それ言っちゃいかんらしいからね」とご機嫌状態が続く。

▽10月8日 シーズン報告に訪れた岡田監督に“永久政権”を約束? ここ8年で8人が指揮を執る事態を「私にとって不幸な歴史」と振り返り「来年チームをいい形にしてもらって、さらに上に上にという動きができるなら、オーナーとしては監督にずっとやってもらいたい」と、成績アップを条件に、岡田監督の長期政権を示唆した。また、当時は横浜の球団売却交渉が進んでおり、オーナーは球団保有のメリットを強調し、身売りは「全くありません」と明言。「バファローズの名前は親からもらった名前として使っていきたい」とも話した。

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