パ・リーグはオリックスとロッテの白熱の優勝争いが続くが、球界の名物オーナーで知られるオリックス宮内義彦オーナー(86)も、25年ぶりの“そのとき”を心待ちにしている。95、96年の連覇のあと、ときには厳しく、不変の愛情を持ってチームを見守ってきた。折々のオーナー語録を振り返る最終回。オリックスにとっても運命の楽天ロッテ戦(楽天生命パーク)が、27日午後6時にプレーボールを迎える。ロッテがこの試合を落とせば、25年ぶりにオリックスがリーグの頂点に立つ。ナインは京セラドーム大阪に集結して、そのときを待つ。宮内オーナーが「冥土の土産」と待ち望んだ優勝は、果たして実現するだろうか。

【2019年】▽2月 春季宮崎キャンプで、4年連続Bクラスに低迷するナインに「とにかく、このキャンプで1段上げるべきものをきっちり手に入れてもらわないと。みなさんの選手生活が今年が最後だと思ってやる覚悟がないと、キャンプも意味はありませんよ」と訓示。練習視察後は「非常に競争が激しいチームになったなあという印象ですね。(若手の)鋭さが出てきた。ピッチャーも打つ方も」とにんまりした。

▽3月13日 激励パーティーであいさつし「私も相当、年になりました。冥土の土産がないままに閻魔(えんま)さんに会うのは非常にまずい。早いこと土産を作ってほしい。個人的に少し焦っている」とリーグ優勝を求めた。金子と西の2枚看板が移籍したが「ビッグネームはないが、若手が育っている。過去の実績でビッグな名前になっているのであって、今季を考えると何も意味しない」と不安はおくびにも出さず。4年連続Bクラスの停滞感を打ち消すように「今年はひょっとするかもしれませんよ、皆さま方、と言いたいところです」と笑顔で締めくくった。

▽4月4日 現役引退した元マリナーズのイチロー氏について「よくやったよね」と、長年にわたった活躍をたたえた。開幕から2引き分けをはさんで4連敗のチームについては「(点が)取れないねえ。心配だよ」と肩を落とした。

▽同22日 先発アルバースが好投しながら打線の援護がなく、3連敗。「アルバースを勝利投手にしてあげたかったですなあ」と残念がった。足を使った野球が浸透しつつあるが「ランナー出ないと足を使えないもんね」と苦笑い。最下位にも「まだ始まったばかりですから。どう立て直すかですね」とファイティングポーズも、去り際には「今日は無理をしてきたんだけどね」とこぼした。

▽同28日 2年目右腕のK-鈴木のプロ初勝利を吹き飛ばした救援陣に「(プロ初勝利を)つぶすのが得意なんだ、うちは」と怒り「(打者と)勝負できない投手を使った方が悪い! ブルペンは何を見てるんだ!?」と、起用法にも矛先を向けた。「いろんな逆転負けを見てきたけど、今日みたいなのはめったにない」と最後まで怒りは収まらなかった。

▽6月16日 あと1死まで迫りながら、日曜日のシーズン初勝利を逃し「負けに等しい引き分けやね。四球が多すぎる」と苦笑しながら無念をのぞかせた。

▽9月18日 最下位でクライマックスシリーズ進出も厳しい状況で、西村監督の手腕について問われ「あなた方は監督を辞めさせたいのですか?」と笑顔で“逆質問”。「そこは球団マターですから」と明言は避けた。

▽11月27日 今季最下位に沈んだチームに活。「大いに反省してね。(来季は)勝つ野球を。年老いたオーナーを喜ばせる野球を、やっていただきたい」と呼びかけた。

【2020年】▽2月8日 春季宮崎キャンプでナインに恒例の訓示。「まずラグビーの話をしましてね。もちろん野球とは違うスポーツだけど、全員が勝つためのプレーをしている。自分がどういうポジションにいるかを察して、1つ1つのプレーをやってほしい」と、前年のラグビーW杯で日本代表が見せた一丸精神を求めた。「ONE TEAMですよね。なんとなく選手は個人プレーで、自分がいいプレーをすれば、それでいいと思っている。それじゃあ、野球じゃない。自分は何を期待されてるのか」。オフに獲得した大物助っ人ジョーンズには「彼のインパクトは大きい。十分に補強できたのかな」と目を細めた。

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