阪神佐藤輝明内野手(22)に来季三塁構想が浮上した。15日に甲子園で行われた秋季練習で、これまで三塁を守った大山悠輔内野手(26)が、シートノックで左翼の守備に就いた。これに伴い、首脳陣は佐藤輝を近大時代の本職である三塁で先発起用する可能性に言及した。17年ぶりのリーグ制覇へ、最適な布陣を模索していく。

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佐藤輝の来季主戦場が、三塁になる可能性が浮上した。甲子園の秋季練習で行われたシートノック。今季まで主に三塁を守った大山が原口とともに向かったのは、左翼だった。その後は一塁の守備練習を行い、フリー打撃中には再び左翼の位置でボールを追った。この日、大山が三塁を守ったのは、志願による早出特守だけだった。

矢野燿大監督(52)は来季布陣への考えを明かした。「来年の春もレフトは試したいというのがあって。もちろんサード、ファーストがメインの中で、チームの編成でレフトもやれると悠輔も打席に立てるわけだし」。それに伴い、佐藤輝が三塁を守る可能性について「それは別に消しているわけでも何でもないけど」と言及。井上ヘッドコーチも「例えば輝明がライト、サードを守れるように、ポジションを複数やっていったほうが幅が広がる。悠輔(大山)のレフトもありえないことじゃないと練習をし始めているということ」と説明。佐藤輝の三塁起用を見据えた動きだった。

現在、佐藤輝は左膝を痛めていたため、一部別メニューで調整中だ。今季はシーズン126試合のうち102試合で右翼に就き、大山の休養日や負傷離脱の際には代役として、13試合で三塁守備をこなした。初めて「4番三塁」を務めた5月2日広島戦(甲子園)では、3度の守備機会を無難にこなしながら、5回に逆転満塁アーチをかけた。リーグ戦中断期間のエキシビションマッチでは、一塁大山、三塁佐藤輝のオプションもテスト。10月末に参加したみやざきフェニックス・リーグでも三塁を守った。近大時代の定位置に戻る可能性は十分にある。

今季主に左翼を守ったサンズは退団の見込みで、大山が守ることができれば、攻撃の選択肢は広がる。矢野監督は主将の心情をくみ取りながら、チームとしての幅を広げたい思いもある。「そりゃあ悔しいと思うよ。それはチーム全体のこともあるし、逆に言うと、レフトで打って、サードに戻るということもあると思う。全体を考えた上で、やっていってくれたら、お互いのためになるかなと思う」。2人のスラッガーをより輝かせる方法を模索する。【磯綾乃】

▽阪神田中2軍内野守備走塁コーチ(大山の三塁早出特守に)「自分の課題だと思って『朝からやりたい』と言っているので。アイツ全部やらなあかんからね。時間の中で。(左翼、一塁)というのもあるし、バッティングの課題、守備の課題。時間が取れるんだったら朝でもいいよって、朝やってる感じですね。明日も多分やると思う」