オリックスが劇的な逆転サヨナラで白星発進を決めた。2点を追う9回、無死満塁の好機をつくると、宗佑磨外野手(25)が守護神マクガフから中前に同点適時打。続く吉田正尚外野手(28)が中越え二塁打を放って試合を決めた。ミラクル・オリックスに京セラドーム大阪はお祭り騒ぎ。目指す25年ぶりの日本一へ弾みのつく先勝だ。

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折れたままの右手を高々と突き上げた。痛みに耐えた吉田正が、劇的サヨナラ打で日本シリーズ初戦にピリオドを打った。

「しびれましたね! ラストチャンスを頂いて、最後。流れが来ている中で、心拍数が上がっていた」

2点ビハインドで敗色濃厚の9回。宗の2点適時打で追いついてなお無死一、二塁。心臓はバクバクでも冷静に構えた。「宗がこれまでないぐらい、球場を盛り上げてくれたので、その勢いで」と初球をロックオン。前進守備のセンター頭上を越すサヨナラ打を決め、歓喜のウオーターシャワーを浴びた。

超速復帰の連続から、大仕事をやってのけた。9月上旬に全力疾走した際に痛めた左太ももの全治は6週間だったが「ポジションに穴をあけたくない」と3週間で復帰。だが、10月上旬に死球を受け、今度は右尺骨を骨折。全治2カ月の失意の中で、栄養管理や8時間睡眠を徹底して行い、1カ月後のCSファイナル初戦で不死鳥のごとく帰ってきた。「ここまで来たら日本一しかない…。リハビリは気持ちが下がるとダメなので。絶対に復帰すると強い気持ちで」。骨は折れても、心は折れなかった。

背番号34は必ず、打席に一番後ろから入る。2度のスイングで体の可動域を確認し、センター方向に進んで投手と対峙(たいじ)する。「僕のルーティンですね。投球の軌道を頭の中で描きながら、インパクトの点を合わせるように、気持ち良く入っています」。再現性は抜群だ。5月30日の交流戦でも8回に決勝打を放ったマクガフの球筋は「覚えてますよ」。実に71年ぶりという、2点差逆転サヨナラ勝ちを完結させた。

「1年間、最後まで諦めない戦いができていた。日本シリーズ初戦でも、それができた。大きな勝ちだと思う」と会心の笑顔。25年ぶりの頂上決戦に「待ちすぎですよね…」と笑いを誘い「大丈夫です!(日本一へ)ここからいきます!」。熱い視線先には、チャンピオンフラッグがある。【真柴健】

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