初の日本一への思いが“フライング”として現れた。中央学院大1点リードの9回1死一、二塁。山崎凪投手(4年=千葉英和)が投ゴロに打ち取ると、ベンチは併殺を確信。古田島成龍投手(4年=取手松陽)を先頭に猛ダッシュでマウンドへと駆けたが、一塁は間一髪セーフ。球審に制止され、慌ててベンチにとんぼ返り。次打者の右飛で、やっと喜びを爆発させた。

「わっしょい野球」が勝利を呼んだ。最大4点ビハインドも、持ち前の明るさで嫌なムードを作らなかった。1点差まで詰め寄った6回。1死満塁で武田登生主将(4年=中央学院)が3点適時二塁打を放つなど、一挙5得点で逆転した。

苦しみながらもつかんだ栄冠だった。今秋の千葉県大学リーグ戦は開幕から4戦で1勝3敗。入れ替え戦も覚悟した武田は思い切って方針転換に出た。「暗くなっても仕方ない。明るくいこうという意味で『わっしょい野球』を心掛けました」。ピンチも好機も、全力で声を出すようにした。

雰囲気はみるみる変わった。リーグ戦、関東地区大学選手権、今大会を12連勝で一気に頂点まで駆け上った。笑顔を絶やさなかったナインたちだが、試合後、ベンチ入りを逃した選手たちを前に大粒の涙。その光景に、菅原悦郎監督(60)は「グラウンドとスタンドが一体となって喜ぶ姿は何としても見たかった。最高に幸せです」と喜んだ。武田も「最高の景色です。いろいろな人の支えがあってここにいます。感謝したい」。“わっしょい”の結束力が、最高潮に達した瞬間だった。【阿部泰斉】