阪神北條史也内野手(27)が26日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約更改に臨み、300万円減の年俸1900万円でサインした。今季は左足首負傷、左肩負傷とケガに泣き続け、1軍33試合出場。今季限りで現役を引退したロッテ鳥谷敬内野手(40)の信条でもあった「明日辞めてもいいぐらいの気持ちで」という覚悟も胸に、背水のプロ10年目に勝負を懸ける。(金額は推定)

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誰よりも本人が一番、厳しい現状を理解していた。

「僕も来年10年目。試合に出ないと、この世界にいられない。レギュラーは大体決まっている。チャンスは多くない立場なので、そこに食い込んでいきたい。無理やったら終わり。それぐらい(の気持ち)です」

北條は自身に言い聞かせるように、次々に覚悟を言葉に変えた。

今季は1軍33試合出場で打率2割、1本塁打。前半戦は左足首負傷、後半戦は左肩負傷とケガに泣き続けた。ムードメーカーとして重宝されながら、立場は年々苦しくなっている。

9月中旬のウエスタン・リーグで左肩を亜脱臼。実戦復帰直後の10月中旬にもフェニックスリーグで左腕を負傷し、「左関節鏡下肩関節唇形成術」を受けた。「手術は一生したくないというぐらい。(最後に)脱臼した時は飛びついてもいなかった。結構ショックが大きかった」と振り返ったが、もちろん下を向いている暇はない。

今年の1月には巨人坂本の合同自主トレに初参加。光星学院(現八戸学院光星)の大先輩から「インコースでもボールの内側をたたくイメージ」を伝授されるなど、走攻守で教わったヒントには手応えがある。「そこは1年間貫けた。後悔はない」と力を込める。

手術後6週間でギプスが外れる。来春は故障組スタートから再起を図る。「キャンプ終わりぐらいには強く振ったり、そこまでいきたい」とプランは明確だ。

「トリさんも言っていましたけど、明日辞めてもいいぐらいで頑張りたい」

虎のスター遊撃手だったロッテ鳥谷が今季限りで現役引退。大先輩の信条も受け継ぎ、泥臭く内野争いに割って入る。【佐井陽介】

◆北條一問一答◆

-リハビリの現状は

今はリハビリもできることが限られている。腕上げたりとか、おじいちゃんみたいなことしかできない。これからですね。

-10年は意識する数字

7年目、8年目ぐらいから1年、1年勝負という(気持ちで)。ここまできたら1年でも長くという気持ちで最近はやってます。

-数字の目標は

目標…、立ててもいけたらいけたで、気持ちが前に向かない部分もあると思う。序盤(に結果が)出なかったら、そこの目標も無理になってくるんで1日、1日を(頑張りたい)。

-ベンチでは試合に出られない悔しさを抑えて声を出していた

悔しさはありますけど、その日に出てなかったら、「自分ができることをやろう」という考えに、すぐになりますし。悔しいからといってやっててもしょうがない。そういう考えでやってても楽しくないので、自分の中ではそういう考えでやってます。

◆阪神北條の9年間

▼13、14年は2軍で実戦経験を積んだ。

▼15年5月28日楽天戦(甲子園)で1軍デビュー。

▼16年 初の開幕1軍入り。4月3日のDeNA戦でプロ初安打を代打本塁打で飾った。シーズン途中から遊撃の定位置を獲得。

▼17年 開幕戦に「6番遊撃」で先発も、打撃不振で2軍落ちするなど低迷。

▼18年 9月14日のヤクルト戦で左肩を亜脱臼。

▼19年 新人木浪に開幕スタメンを譲るが、三塁も守り、CSでは決勝2ランを放つ活躍。オフに結婚。

▼20年 腰痛もあって木浪らに出場機会を奪われ、遊撃の先発は9試合。

▼21年 4月に左足首、9月の2軍戦で左肩を負傷。10月に左肩を手術した。