ソフトバンクがデニス・サファテ投手(40)の現役引退を11月30日、発表した。

17年にNPBのシーズン最多となる54セーブを記録し、日本一に貢献。NPB通算234セーブを挙げ、鷹の絶対的守護神として活躍した。20年10月に股関節の手術を受けるなど故障に苦しみ、ここ3年は1軍登板なし。米国でリハビリに励んでいたが、夫人の妊娠を機に自らの野球人生にピリオドを打った。

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絶対的な守護神もケガには勝てなかった。3年間、1軍登板がなく米国に帰国していたソフトバンク・サファテが現役引退を表明した。メジャー通算5勝4敗。セーブはなかった。それが日本にやってきてから開花した。広島、西武で3年間過ごし、ホークスのユニホームに袖を通した14年から圧倒的なクローザーとして君臨した。17年には歴代最多となるシーズン54セーブを挙げた。

試合を締めた直後にマウンド上で両手を合わせ、深々と頭を下げる「バウポーズ」は常勝チームの象徴だった。担当記者のインタビューも自らの投球内容に関係なく、いつも紳士的に対応した。「また、アシタネ~」とロッカー室から電動キックボードでさっそうと引き揚げる助っ人の姿が懐かしい。

マウンドでの集中力を高めるために「出番」まではリラックスに努めた。ある試合中のこと。選手サロンにあったペットボトルのキャップが無数に入った箱をロッカー室に持ち込み、キャップの個数を数えていたこともあった。「どれくらい入っていると思う? よし、数えてくるよ」。1000個以上はあったと思う。ロッカー室から大声を張り上げ戻ってくると笑顔で個数を報告していた。

オンとオフ。過酷なマウンドに向かうには気持ちの切り替えを最も大切にしていたように思う。敬虔(けいけん)なクリスチャンで、休日には福岡の大学チャペルで講演したこともあった。

「素晴らしいものにはいつか終わりが訪れます」。引退を決意したサファテはメッセージにそうつづった。右股関節を痛め、復帰はかなわなかったが、ホークス歴代助っ人では最高位の存在感だった。