恥ずかしながら、思わず「あぁ」という声が漏れてしまった。1点をリードした7回表1死で、ヤクルトの先発・高橋奎二が宮崎に対して投げた4球目。内角に狙って投げた真っすぐが甘くなったときだった。レフトスタンドに痛恨の同点ホームランになった。

なぜ声が漏れてしまったのか? ただの失投であれば仕方ないが、絶対に投げミスが許されない状況だった。2球で追い込み、3球目は外角へのチェンジアップをファウルしていた。ここで捕手の中村は内角への真っすぐを要求。緩い変化球の後で、絶対有利のカウントだった。厳しくボールゾーンに投げられれば、何も問題はないが、甘く入ってしまった。

これだけで終わらなかった。続く松尾に対しても、カウント1-2からスライダー、チェンジアップ、フォークを続けたが、いずれもストライクゾーンで、すべてファウルで逃げられてしまった。1球でも低めのボールゾーンに投げられていれば、空振り三振に打ち取れていたと思う。

ここから捕手の中村は苦し紛れの真っすぐを外角へ要求した。この選択もいいとは思わないが、3種類の変化球がすべてボールゾーンに投げ切れていないのだから、仕方ない部分はある。しかし外角低めに狙った真っすぐがやや内角の高めに抜け、一時は勝ち越しとなるソロを浴びた。

絶対に許されない失投とはいえ、1球だけなら諦めもつく。しかし2本のソロのうち、失投は4球もあった。プロ入り5年目までの投手だったなら仕方がないが、高橋はプロ入り11年目であり、ローテーションを何年も任されている投手。先発して6回2/3 2失点は合格点だが、勝負どころで何球も投げミスを続けるようでは、大事な試合を任せられない。

つい厳しくなってしまうのは、若い頃の高橋を見て「これは将来エースになれる素材」だと思って見てきたから。ケガが多く、時間がかかったが、投げているボールは一級品だという思いは今でも変わらない。今シーズンもケガで出遅れたが、チームは首位争いをしている。ここで高橋が投げるボールに比例するような勝ち星を挙げられれば、低い下馬評を覆して優勝する可能性はグッと高くなるはず。1人のOBとして、なんとか頑張ってほしいという気持ちを込めて厳しく評論させてもらった。(日刊スポーツ評論家)

ヤクルト対DeNA 7回表、降板するヤクルト高橋奎二(撮影・鈴木正人)
ヤクルト対DeNA 7回表、降板するヤクルト高橋奎二(撮影・鈴木正人)
ヤクルト対DeNA 7回表DeNA1死、宮崎敏郎はソロ本塁打を放つ(撮影・鈴木正人)
ヤクルト対DeNA 7回表DeNA1死、宮崎敏郎はソロ本塁打を放つ(撮影・鈴木正人)
ヤクルト対DeNA 7回表DeNA1死、松尾汐恩はソロ本塁打を放つ(撮影・鈴木正人)
ヤクルト対DeNA 7回表DeNA1死、松尾汐恩はソロ本塁打を放つ(撮影・鈴木正人)