元ロッテ、阪神、DeNAの久保康友投手(41)が関西独立リーグの兵庫に入団し、2日、兵庫・三田市内で入団会見に臨んだ。無給で背番号は15。「まったく2年間、何もやっていなかった。どれくらいできるかは自分でも未知数」と話した。

異例の「逆オファー」だった。久保はDeNAを退団後の18年以降、海外でプレーしてきた。米国、メキシコ…。海外への好奇心は強いがコロナ禍で頓挫。昨年から2年、無所属が続いていた。11月中旬、所属先を探していた久保が自ら同球団に連絡。「いきなり向こう(海外)でやるのは難しい。若い選手と刺激しあって高いレベルに行けたら」と明かす。05年新人王でNPB97勝。球界で一時代を築いた実力者が、独立リーグの門戸をたたいた。

もともと、固定観念にとらわれない男だ。「いまだに現役かどうかも自分自身よく分かっていない。やりたいときに野球をやればいい。自然体でずっとやってます」。この日は寒空の下で64球のブルペン投球。若手に助言もしていた。41歳の年齢で人生を区切らないのだろう。ただ、同学年の前西武、松坂大輔投手の引退に気を引き締めた。

「同世代はほぼいない。松坂世代と呼んでもらって、すごい恩恵を受けてプレーしていた。彼がいなくなって自分たちの世代の代名詞がなくなる。自分がしっかりしないといけない」

98年、センバツ決勝で怪物松坂としのぎを削った。「相手のペースを乱すため(試合中)声を掛けたりした。でも彼はスルーしたというか軽くあしらわれた。完敗。何をしても勝てない、すごい記憶があります」。精神面で揺さぶろうとしたが効果なし。「あの当時からメンタルが強くて完成されていた」と脱帽する。

松坂世代-。NPBではソフトバンク和田が奮闘する。久保は自分だけの道を肩肘張らずに歩く。「現役に近い形に戻して、海外でやりたい」と話すなど、人生の価値観を壊してくれる海外への思いは尽きない。まさに球界の風来坊。慣れ親しんだ兵庫から、コロナ禍で中断した夢の続きを追う。【酒井俊作】