3大会ぶりの世界一には、あの選手が必要です! 今季まで10シーズン、日本ハム監督を務めた栗山英樹氏(60)が2日、侍ジャパンの新監督に就任した。

23年3月に開催が見込まれる第5回WBCまで指揮を執る。都内で行われた会見では、日本ハム時代の教え子であるエンゼルス大谷翔平投手(27)の代表招集の可能性を語った。夢のある、そして勝てるチームを作っていく。

【予想】2023年WBC 侍ジャパンドリームチーム>>

「必要ですか? 翔平」

突然の“逆質問”だった。大谷代表入りの可能性を問われた栗山監督が、反対に報道陣に投げかけた。「僕の中では、もちろん、ファンの皆さんが見たい、夢のようなチームになって欲しい思いはある。そのために、どうしたらいいか考えていく」と続けた。大谷が侍ジャパンでプレーする-。師弟の絆が垣間見えた。

夢を膨らませるためにも、先入観はなくす。「アメリカでプレーしている選手。もしかしたら、NPBでプレーした経験がない選手も」。狙いはシンプルだ。「全ての要素から勝てる選手を選んでいく」と強調した。東京五輪で金メダルを手にしたが、WBCの世界一は連覇した09年の第2回が最後。自らの使命を世界一奪還に定めた。

だからこその大谷だ。「僕の中で打者大谷、投手大谷と2人の選手がいる。その2人が全体像の中で必要だと思えば、そう思うでしょう。勝つために必要な選手を呼ぶ」と徹する。二刀流による一人二役のメリットは言うまでもない。

代表にメジャー選手が加わるメリットも肌で感じている。第1、2回大会は、キャスターとして全試合を現地で見届けた。イチロー、大塚、松坂、城島、岩村、福留。頂点への道のりで、存在感は際だった。「世界でやっている経験はすごく大きいと当時、思った。若い選手が憧れる選手たちが一緒になってやるのは、すごく意味がある」。大谷が加わる効果も分かっている。

オファーを受けたときは「頭の中が真っ白」。ただ、要請の意図を聞いて思った。「選手たちには野球界のためになることは、ちゃんとやるんだぞと言ってきた。自分がそういう立場になったとき、自分の感情は別問題だった」。覚悟を持って私心を捨てたから、大谷であっても「勝てる選手」かを追求する。所信表明を終えると、日の丸を広げ、白い歯を見せた。逆質問の答えは、これしかない。

はい、必要です!【古川真弥】

○…侍ジャパンのコーチ陣について、栗山監督は選考中とした。「一緒にチームを作ってやる期間とか試合数は少ない。非常に難しい状況。そういうことも踏まえて、一緒に、この難しい宿題を解いてくれるコーチが集まってくれるはず。もう少しだけ時間を下さい」。準備期間や大会前の実戦機会が限られる中、ベストの布陣を練っている。

▽斉藤コミッショナー 日本ハムで培った10年間の監督経験の中でリーグ優勝2回、日本一1回という輝かしい実績を持たれている。第5回WBCで世界一の奪還に向けても、その手腕を発揮していただけると大いに期待している。栗山監督は少年野球等の支援を通して野球の普及、選手の育成にも大変力を注いでこられている。プロアマの共同事業である侍ジャパンの顔として、日本の野球界のみならず、スポーツ界をけん引していただけると信じている。

◆放送 侍ジャパン東京五輪金メダルへの軌跡を追った密着ドキュメンタリー「侍たちの栄光~野球日本代表 金メダルへの8カ月~」が、NHKのBS1スペシャルで放送される。4日午後7時より。