ソフトバンク千賀滉大投手(28)が5日、ペイペイドームで契約交渉に臨み、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使せず、2億円増の年俸6億円でサインした。日本人投手では球団最高額。年俸変動型の5年契約だが、選手側が契約の見直しや破棄ができる「オプトアウト」が付く。順調なら来季中に海外FA権を取得する見込みで、メジャー挑戦を前提とする異例の契約となった。(金額は推定)

   ◇   ◇   ◇

「米挑戦かソフトバンクでプレーか」。他の選択肢はないという、千賀と球団の思いを示す契約だと感じた。

球団では従来、主力選手にはFA権を取得する前年または取得年に大型の複数年契約を提示してきた。豊富な資金力をバックボーンにした事実上の「FA権買い取り」で、他球団移籍を封印する代わりに好待遇を保証して巨大戦力をキープしてきた。不動のエースである千賀に対しても、シンプルな複数年契約で引き留めるのが理想的だったはずだが、17年オフから話し合いを続けてきたメジャー挑戦の思いを尊重した「オプトアウト付き」という形で折り合いが付いた。

千賀にとってはいいことずくめで、今後の結果にかかわらず最長5年間の契約が保証され、自分の意思で夢へ挑戦できる。球団にとってのメリットは、何よりも避けたかった国内他球団へのFA移籍を向こう5年はシャットアウトした点になるだろう。

また、金銭的な見返りよりも戦力としての選手を重要視する「ポスティングシステム利用での海外移籍を認めない」という球団方針の堅固さが、改めて強調された例にもなった。【ソフトバンク担当=山本大地】