それでも先発にこだわりたい-。阪神藤浪晋太郎投手(27)が8日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約交渉に臨み、6年連続減俸となる1100万円減の年俸4900万円でサインした。今季は初めて開幕投手に抜てきされながら3勝どまり。先発、中継ぎの両方でチャンスを生かせなかった。プロ10年目の来季はスターター再挑戦を希望。豊富な先発投手をそろえるチーム状況を理解した上で、あえていばらの道に挑む。

    ◇    ◇    ◇

藤浪は現実から目を背けなかった。15年オフに1億7000万円まで上昇していた年俸はこの日、4900万円まで下がった。

「正直、もちろん悔しい。『クソッ』という思いはある。取り返してやるという気持ちはある。やってやろうという気持ちです」

6年連続の減俸。「数字を出せない以上、プロ野球選手の給料が下がるのは当然」と前置きした上で、偽らざる感情を美化することなく言葉に変えた。

今季はプロ9年目で初めて開幕投手を任されながら3勝どまり。先発、中継ぎともにチャンスを生かし切れず、防御率5・21と苦しんだ。「圧倒的なパフォーマンスをしたり、先発で使いたいと言われるようにしないといけないと、あらためて感じた」。10年目となる来季はスターター再挑戦を希望する。

「たくさん先発の駒がいて、チーム事情的にも厳しいのはよく分かっていますが、やっぱり先発をやりたい。そのエゴを通せない実力であれば、中継ぎでも大した成績を残せない」

この2年間経験して余計に救援陣の難しさ、重要性は理解している。「すごく魅力的な仕事」とリスペクトした上で、それでもまっさらなマウンドにこだわりたいのだという。

「快感と言ったらちょっとダサい感じになりますけど、自分が野球やっている中で先発の勝ちが一番気持ちのいい瞬間なので」

だからこそ、課題克服へ決意は固い。

「余計なボール、余計な四球が自分の課題。そのあたりをしっかり改善できるようにしたい」

今季は48回1/3で44四死球、8暴投。来春のキャンプでは早々に変わり身を証明するつもりだ。

「まずは先発ローテに入ることを頑張らないといけない。今の先発メンバーを差し置いてでも藤浪を使いたいと思えるぐらいのモノを見せれるようにしたい。自分もアラサー。もういい年なので。しっかり頑張って覚悟を持って臨みたい」

12球団を見渡してもトップレベルの開幕ローテ争いに割り込めるか。腹をくくった大器の底力が試される。【佐井陽介】

 

◆年俸連続ダウンメモ 最近では斎藤佑樹(日本ハム)が6年続けてダウンしている。斎藤はプロ3年目、13年の年俸がピークの3500万円で、その後は14年2800万円→15年2500万円→16年2300万円→17年2000万円→18年1830万円→19年1600万円と下がり続けた。20年は現状維持の1600万円で契約し、連続ダウンは6年で止まった。