スアちゃんの穴を埋める剛球右腕だ! 阪神が新守護神候補として今季パイレーツでプレーしたカイル・ケラー投手(28)と契約合意したことが10日、分かった。嶌村聡球団本部長(54)が「スアレス選手の代替。そういう期待感を持って獲得した」と明かした。今季球団外国人最多42セーブで2年連続タイトルに輝いたスアレスはパドレスに移籍。身長193センチの最速157キロ右腕は、その後継者を期待される。

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矢野監督の「スアちゃんにつなげ」が来季は「ケラちゃんにつなげ」となる可能性大だ。就任4年目の来季に17年ぶりのリーグ優勝を目指す中、スアレスのメジャー移籍で大きな戦力ダウンとなっていた。嶌村本部長はケラーとの契約合意を明かし、「当然スアレス選手がいたら獲得していない選手。リリーフとして非常に期待感がある」と、スアレス流出に備えて調査してきた剛腕に期待した。

ケラーは昨季はエンゼルスで大谷と、今季はパイレーツで筒香とチームメートだった。今季は中継ぎで32試合に登板。33回1/3のイニング数を超える36奪三振とピンチで三振が奪えるのも強みだ。身長193センチから最速157キロの直球と鋭く速く大きく曲がるパワーカーブを投げる。嶌村本部長は「球種は基本その2つ。カーブでも空振りも取れる。真っすぐに勢いがある。メジャーリーガーでも差し込まれているシーンも多い。真っすぐでの三振が多く、空振り率が高い」と、その力強さにほれ込んでいる。

嶌村本部長は19年の1年だけ在籍したジョンソンに似ていると話す。「PJ(ピアース・ジョンソン)の場合はドロップカーブで少しタイプは違う。直球の勢いはケラーの方がある」。58試合を投げ2勝3敗40ホールド、防御率1・38と圧倒的な数字を残し、現在はパドレスで活躍する右腕とダブらせた。

このオフは先発タイプで今季ドジャース3Aでプレーした右腕アーロン・ウィルカーソン(32)も獲得した。退団したのはスアレス、エドワーズ、サンズの3人。来季も助っ人8人体制を考えており、あと1人、サンズに代わる野手を探している。嶌村本部長は「8人を念頭に置きながら、明日あさってとかそういう問題じゃなく状況を見ながら」と、チームにフィットする助っ人を見定めていく。その中でも新守護神候補ケラーの獲得は、大きな補強となりそうだ。【石橋隆雄】

◆カイル・ケラー 1993年4月28日生まれ、米ルイジアナ州出身。サウスイースタンルイジアナ大から15年ドラフト18巡目でマーリンズと契約。19年にメジャー昇格。メジャー通算44試合はすべて救援登板で1勝1敗、防御率5・83。193センチ、92キロ。右投げ右打ち。

 

◆19年のジョンソン ドリスや藤川につなぐセットアッパーとして、阪神が誇る強力救援陣の一翼を担った。開幕から16試合連続無失点と抜群の滑り出し。その後も150キロ超の速球とパワーカーブで相手打者を圧倒。コンディション不良で戦列を離れたこともあったが、58試合で2勝3敗、40ホールド、防御率1・38。通算58回2/3を投げ、奪三振91で、奪三振率は13・96の驚異的な数字でCS進出に貢献した。20年にメジャーに復帰し、ダルビッシュのいるパドレスで救援投手として活躍している。