ソフトバンク藤本博史新監督(58)が新春インタビューで「リーグV奪回&日本一奪回」への思いを熱く語った。3軍監督、2軍監督として若手を知る指揮官は競争を掲げ、ベテランや中堅との融合でチーム力アップを狙う。開幕戦でぶつかる日本ハム新庄監督が提案した「ひげそりマッチ」には、断固として拒否した。常勝復活の大きな「夢」へ向かって、22年の戦いが始まる。

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-1年を振り返って

2軍の方で監督させてもらってたんでね。ウエスタン・リーグの方でもレベルが上がってるなと感じた1年でした。他のチームも150キロ近く投げるピッチャーが多くなって。そういう意味では、2軍で調子いい選手が1軍行っても結果を出せるんじゃないかなというところをすごく感じた1年でしたね。

-2軍投手のレベルが高い

ウエスタンの打率を見てもらったら分かると思うんですけど、3割打っている選手少ないんですよ。それだけ投手のレベルが上がっている。そこで柳町みたいに3割近く打った打者は力を付けていると思う。2割4分、5分くらいの増田や野村も、後半はいいところでチャンスに強い打撃を見せてくれた。

-就任後から「競争」と言い続けている

若手若手といつも言ってますけど、1軍で若手だけで勝つのは難しい。中堅、ベテランも合わせて、うまく競争して勝つのがベスト。心の中でレギュラーと思っているのは2、3人しかいない。他はほぼ競争です。

-外国人選手も

外国人にも助っ人としてきてもらうわけですけど、ふたを開けてみないと分からない。期待はしてますけどね。デスパイネ、グラシアルに関しても実績はありますけど、そこも当然、悪かったらなかなかね。いいものを使いたい。競争というところを前面に出していきたい。

-目指すのは「藤本流攻める野球」

今の野球というのは、初回プレーボール、先頭バッターが出ました、送りバント、というのは少なくなってますよね。そこで何かできたらいい。

-オリックスはポストシーズンでバスターなどを使っていた

ああいう形の野球がしたいですね。「攻める野球」というのは中嶋監督がやったようなね、バスターとかはどんどん取り入れていきたい。

-中嶋監督も2軍監督から昇格

中嶋監督も2軍でプレーしている選手を見てきてね、それをうまく1軍に引き上げて勝ってるわけですから。いいものが1軍にいる形になってもらいたい。当然、ベテランの明石や松田も頑張ってくれると思うし、柳田や中村晃、今宮あたりに引っ張ってもらいたい。

-現役時代はさまざまな監督の下でプレー

根本さんは、最初の1年は放任主義やったですよね。王会長は強い野球を知っているという感覚があったし、杉浦さんはおとなしい監督だったし。田淵さんはどうやったかな。ぼくを4番にした監督やったからですね、ちょっと間違っとたんかなと思いますけど(笑い)。それぞれ個性があってね。でも人のまねをするんじゃなくて、ぼくはぼく流の「攻める野球」をテーマに戦っていきたいというのはすごくあります。

-対話を重視

2月のキャンプはA組に入った選手は全員、面談で気持ちを伝えて選手の気持ちも聞いてみようかなと。言いたいことがあったら何でも言ってくれと言ってるので。牧原みたいにオールラウンドで頑張っていても、本人はどういう気持ちでやりたいのか。例えばショート一本でいきたいのか。聞いたからといってその通りにできるわけではないけど、選手の希望も聞いておきたい。選手が不安がって野球するのが一番嫌なんですよね。3月25日開幕には気持ちよく入っていけるようにしたいので。

-春季キャンプでは実戦を早める

第1クールから投手陣にはフリーに投げてもらって、第2クールはシート。第3クールは紅白戦やっていこうと思ってます。1クール早くなるだけですからね。金さん(金星根監督付特別アドバイザー)なんかは「初日から紅白戦したらどうだ」と言うけど、けがが一番怖いですからね。そういうのをやるチームもありましたけど。僕らも根本さんが監督の時は初日から毎日紅白戦やったですもんね。結果、その時は6位やったかな。次の年は根本さんから「おまえらプロじゃない」と言われて、毎日終わったら10キロ走ってたかな。そのギャップが狙いだったと思うんですけど。

-日本ハム新庄監督は派手なパフォーマンス

派手ですね。パ・リーグを盛りあげてくれたらいいんじゃないですか。ある意味こっちは勝つ野球というか、優勝を目指す野球をしたいので。新庄監督は「優勝なんか目指してません」と言うけど、絶対心の中にありますよ。野球選手ですからね。負けていいという監督はいないと思うので。

-開幕戦で対戦。「負けたらひげをそるのはどうか」と言っていたが

全然そんなん、受けません。罰ゲームでひげそるんじゃないですからね。罰ゲームとか大嫌いなんですよ。負けたからひげをそるとか、そういうことはやりません。

-パは混戦模様

パ・リーグは特別どこが強いとか、よく開幕前に解説者が予想とかしてますけど、接戦だと思いますよ。そんなに差があることはないと思う。どこが優勝してもおかしくない。

-制するためには

けが人を少なくする、良いパフォーマンスで試合に臨ませるのが大事。どこのチームも強いと思って戦っていきたいと思っている。当然、オリックス山本なんかは日本を代表するエースですけど、うちには千賀がいますからね。千賀と山本が投げ合うときの試合になったら1点を争うゲームになってくるし、シビアにトーナメントのように負けたら終わりというような采配も時にはあるということですよね。

-目標は

昨年4位だったので、やる限りはペナントで優勝して、日本一というのは当然、目指すところではありますよ。あまり口にしたらね、何書かれるか分かりませんもんね。

-22年の思いを漢字で表すと

ぼくはサインにいつも「夢」って書いてるんですよね。現役時代から。「夢」がこのソフトバンク1軍の監督にまでなりましたからね。次は日本一ですから。1字書くなら夢でお願いします。

-なぜ夢の字を書く

ルーツというか、やっぱりいい夢見たいじゃないですか。ぼくのサインに「夢」って入れたらちょうどバランスがいいんですよね(笑い)。高校時代とかは忍耐とか根性とか書いてましたけど、2つ漢字を書くのは時間がかかるから。夢やったら漢字1つでいいですからね。ちょうどいいじゃないですか、ドリームで。

◆藤本博史(ふじもと・ひろし)1963年(昭38)11月8日生まれ、大阪府出身。天理から81年ドラフト4位で南海入団。ダイエー時代の90年7月7日の日本ハム戦でサイクル安打を達成。98年途中にオリックスに移籍し、同年に引退。通算1103試合出場で715安打、419打点、105本塁打、打率2割3分5厘。引退後は解説者などを務め、11年に2軍打撃コーチとしてソフトバンクに復帰し、1軍打撃コーチや3軍監督を務め、21年から2軍監督を務めていた。現役時代は184センチ、92キロ。右投げ右打ち。

 

▽取材後記

改めて藤本監督のトーク術を感じさせられた。大阪出身で天理高、南海を経てきたバリバリの関西人。ちょっとしたエピソードを話す際にも「オチ」を付けて、クスリと笑わせる。1軍監督といっても偉ぶることはなく、自虐ネタもお手の物だ。一見コワモテなのに近寄りがたさを感じさせない。選手たちから慕われ「藤本さんを胴上げしたい」と言われる理由が分かるような気がする。

巻き返しへのテーマは「競争」と「世代交代」。1軍コーチ経験があって現在の主力を知り、2軍監督や3軍監督として今後を担う若手も知る。変革にはうってつけの存在だろう。22年の1軍グラウンドに誰が立っているのか、ワクワク感をかき立てられる。思わぬ伏兵たちの活躍もありそうだ。日本一になったとき、監督インタビューでどんな「オチ」を付けてくれるのか楽しみだ。【ソフトバンク担当=山本大地】