高校通算37本塁打の阪神ドラフト4位、前川右京外野手(18=智弁学園)が8日、自慢の怪力を見せつけた。新人合同自主トレ開始前日の自主練習で、志願のロングティーを敢行。バックスクリーンやスコアボードにぶち当て、何度も衝撃音を響かせた。矢野燿大監督(53)は沖縄での1軍キャンプ抜てきを検討中。同じ左のスラッガー、佐藤輝明内野手(22)とのアーチショーが宜野座の新名物になるかもしれない。

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ボコン! バコン! 白球がバックスクリーンやスコアボードを直撃するたび、鳴尾浜に鉄をたたく激しい衝撃音が響いた。打者はドラフト4位新人の前川。プロの1軍レベルでもパワーがなければ飛ばないロングティーの打球だった。

前川 ちゃんと振れていたと思います。(衝撃音は)気持ちいいですね。

左の大砲は一塁側ブルペン前の芝生の位置から打ち始め、引っ張って80メートルほど先にある“標的”に次々とぶち当てた。7発の時点でスコアボードを破壊しかねないと判断したのか、見守っていたスカウト陣が、打つ角度を左翼方向に変更させるほどだった。トータル52スイングで柵越え8発。同じ高校生のドラフト7位の中川勇斗捕手(17=京都国際)は柵越え0で、高校37発の怪力を見せつけた。

9日からの新人合同自主トレを前に、この日は自主練習の1日。志願したのはロングティーだった。「体を大きく使って、自分が飛ばせるポイントで力強く振れる位置を確認できるとてもいい練習です」。さらりと言ったが、阪神の新人合同自主トレでは例年、開始1週間ほどの後半に組み込むメニュー。それほど体を仕上げてきた証しだ。長年新人を見てきた畑山アマスカウト統括も「(合同自主トレ前は)記憶にないね」と驚き、力強い打球に「大したもの」と目を細めた。

前川 中堅方向に強い打球を打てるように。いっぱい柵越えできるような力をこれからつけていきたい。

矢野監督は沖縄・宜野座での1軍キャンプ抜てきを検討している。球団高卒新人の1軍発進は13年藤浪以来で、野手では初になる。指揮官は「たとえば輝(佐藤)と一緒に打撃練習をしたら、『こんなに飛ばすんだな』とか見るのはすごく勉強になる」と肌で学ばせたい考え。2人が並んでフリー打撃を行えば、宜野座で豪快な柵越えショーが展開されるかもしれない。

前川 試合で打ちたいというのは一番思いますね。 2月8日には新庄監督率いる日本ハムとの練習試合も控える。この日はロングティーの前後も室内練習場で打ち込み、1日をほぼ打撃練習にあてた。今度は宜野座で、激しい衝撃音を響かせたい。【石橋隆雄】

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◆阪神のバックスクリーン弾男 85年4月17日の巨人戦の7回に、阪神のクリーンアップ3人が連続してバックスクリーンへ本塁打を放った。3番バースが3ラン、4番掛布雅之がスタンドから打球をバウンドさせバックスクリーンへ。最後は岡田彰布がバックスクリーンど真ん中へ白球を突き刺した。昨季は佐藤輝が、3月27日ヤクルト戦でバックスクリーン最上段にプロ1号。4月15日広島戦、5月28日西武戦でもバックスクリーンへ放り込んでいる。