阪神中野拓夢内野手(25)が2月の春季キャンプで別メニュー調整スタートとなる可能性が浮上した。

10日に兵庫・西宮市の鳴尾浜球場で2年目選手による合同自主トレが行われたが、他の選手が走り込みなどを行う中、別メニューで調整。キャッチボールやランニング、三塁側ファウルゾーンでのゴロ捕球などでグラウンドから引き揚げた。

「全力で動きたいなという気持ちもあるんですけど、そこは焦らず。ここでもう1回ケガをしてしまうと、シーズンに間に合わない可能性もある。気をつけながら、徐々にキャンプに向けて、上げていけたら」。

昨年11月の秋季練習で走塁練習中に故障していたことが明らかになった。球団は「下肢のコンディション不良」と説明。軽傷の模様だが「痛み自体はないんですけど、ダッシュの出力を上げた時にまだ怖い部分がある。そこをしっかり鍛えていきながら、怖さをなくしていきたい」と慎重だった。

2月から始まる春季キャンプは1軍発進が決定的だが、無理はしない考えだ。「2月1日に100%に持っていくというよりは、8、9割ぐらいで入って、そこからしっかりと仕上げて、開幕に100%でもっていけるようにやっていきたい」と見通しを語った。調整のピッチを上げ、ケガが悪化すれば、開幕も厳しくなる。じっくりと体をつくっていく。

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完治を前提としながら、井上ヘッドコーチが中野と佐藤輝の2人に予告した特守を含む「スパルタ特訓」にも意欲的に取り組む覚悟だ。「『2年目のジンクス』を打破するためには厳しい練習をもっとやっていかないといけない。2人で乗り越えていきながら、シーズンを迎えられたら」。1年目の昨季は遊撃のレギュラーを勝ち取り、30盗塁でセ・リーグの盗塁王に輝いた。目標に掲げる「2年連続盗塁王」獲得へは、開幕からスタートダッシュで勢いに乗りたいところ。マイナスからの逆襲へ、万全を期す。【古財稜明】

○…中野は憧れの鳥谷敬氏(40)のようなおしゃれにも挑戦!? この日、久保田スラッガー社から提供されたカーキ色のセットアップと、鳥谷氏自らがデザインした引退記念Tシャツを身にまとい、練習を行った。遊撃手の大先輩の鳥谷氏はおしゃれで有名だが、「鳥谷さんはめがねが合うけど、自分は合わない」と苦笑い。「自分自身、ファッションにあまり関心を持っていないので、これからおしゃれになっていけるように頑張りたい」と笑った。

◆阪神中野の2021年

▼1軍キャンプ ドラフト6位入団ながら即戦力内野手として1軍キャンプに抜てき。実戦では慣れない二塁手で失策をしたり、盗塁失敗しながら、プロの打球やスピードへ経験を重ねた。

▼開幕1軍 オープン戦は12試合に出場し打率2割8分6厘、1打点の成績を残し、開幕1軍メンバーに入る。

▼初出場初安打 開幕戦の3月26日ヤクルト戦(神宮)に7回裏から二塁守備で途中出場。9回のプロ初打席ではヤクルト近藤から中前へ初安打。

▼初スタメン 開幕14試合目の4月10日DeNA戦(横浜)で8番・遊撃でプロ初スタメン。プロ初打点もマーク。守備でも絶妙なポジショニングでチームを救い、その後、遊撃のレギュラーとなる。

▼輝とアベック弾 5月4日ヤクルト戦(神宮)の8回にプロ初となる1号2ラン。この日は9回に佐藤輝も9号ソロを放ち、球団では49年ぶりの新人アベック弾となった。

▼球宴出場 セ・リーグ遊撃手部門ファン投票1位で選出される。佐藤輝と同一球団から新人2人がファン投票選出は球団では72年中村勝、望月以来49年ぶり。

▼2番打者 糸原がクリーンアップを打つようになった8月下旬から2番に定着。1番近本とチカナカコンビで機動力を発揮。

▼1年目成績 135試合、打率2割7分3厘、1本塁打、36打点。30盗塁。守備では17失策とオリックス紅林と並び12球団最多失策を記録した。30盗塁で盗塁王。新人の盗塁王はプロ野球史上4人目。球団では01年赤星、19年近本に続く3人目。NPBから新人王に値する記録をたたえた「新人特別賞」を佐藤輝、伊藤将とともに受賞。

▼大幅昇給 今季の800万円から2900万円増の年俸3700万円でサインした。昇給率363%は12球団の新人野手で史上最高の大幅アップ。