大エースのプロ10年目が呉越同舟で始まった。巨人菅野智之投手(32)が11日、沖縄・宮古島、伊良部島での自主トレを公開。リモートでの取材に応じた。クリスマス、年越しも現地で過ごし、トレーニングを続けてきた。約2週間の日程で自主トレ参加中の阪神藤浪晋太郎投手(27)には“伝統の一線”を越えたアドバイスを送った。コンディション、仕上がりは良好。5年連続8度目の開幕投手を一直線に見据えた。

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菅野が南の島で地道に鍛錬を重ねている。自主トレ地として初めて選定した宮古島、伊良部島はややぐずついた天候が続いた。気温20度前後で額にじんわり汗がにじむ。手先と足先を意識する、きめ細かいトレーニングで体の連動性に重点を置く。「結構地味なトレーニングが多い。悪天候もありますけど、本当に新しい環境で新鮮な気持ちでできている。すごくいいのかなと思います」と心は晴れやかだった。

新鮮なメンバーも加わった。永遠のライバル阪神の藤浪を合同トレに受け入れた。飛躍への助けとなればと、軸足の使い方を指南した。「彼が僕に頭を下げてくれたっていうところに意味があると思いますし、教えられる部分もあるので、そこに関しては一方的になってはいけないなと。同じ野球人として互いに高めていければなという気持ちだけです」と“伝統の一線”を取っ払った。

自己ワーストの6勝にとどまった昨季からのV字回復に強い意志を示した。すでに遠投で90メートルを投げ「初日からブルペンに入ろうと決めているので、例年に比べたら仕上がりは早いと思っています」と2月1日のキャンプイン同時のブルペン入りを明言。さらに「沖縄で1試合投げて、東京帰って投げて、京セラで投げて、開幕に合わせた、そういうふうになるんじゃないですかね」と大卒、社会人では球団史上最多となる8度目の開幕マウンドを一直線を見据えた。大エースが3月25日中日戦(東京ドーム)で完全復活を証明する。【為田聡史】

◆他球団選手との合同自主トレ 球団の枠を超えてともに自主トレを行うことは一般的になりつつある。今オフも西武中村に岡本和が5年連続で弟子入り。その岡本和へ西武渡部が弟子入りした。山瀬は2年連続でソフトバンク甲斐に弟子入り。さかんに交流が行われている。ただ、ライバル球団である巨人と阪神の選手に関しては異例。菅野は18年オフ、阪神に移籍直後の西勇と行ったが、オリックス時代の15年オフからの縁があった。昨年坂本に弟子入りした北條とともに、菅野に弟子入りした藤浪はまれなケースとなった。