巨人坂本勇人内野手(33)の顔が画面から消えた。12日、沖縄県内で自主トレを終え、リモートで取材に対応。今季の数字的な目標を問われた。「数字…。思い浮かべてなかった…」。下を向き、画面上には帽子だけが見える。約10秒考え込んだ末に顔を上げた。「もう1回3割打って、出塁率も4割ぐらいは残せるように頑張りたいなと思います」。「3割・4割」という数字を掲げた。

プロ16年目で今年34歳を迎える。遊撃手として通算最多出場記録を更新中の球史を代表するスター。同学年で体操界のスター内村航平引退のニュースを目にし、自らの姿を重ねた。「ふと、あと何年できるかなと考えることも、もちろんある。食事など、細かいことを1つ1つ、今までよりも意識してやっていった結果、何年できるか分からないけど、1年でも長くやりたいと思ってやっている」。具体的な数字だけではない。地道な日々の積み重ねがあって今と未来がある。

下半身を中心に、年齢的な身体の変化は当然感じている。昨季は打率2割7分1厘で出塁率は3割5分9厘にとどまった。「後半、体が良い状態で動かないと感じることもあった」。最終盤の10月は打率1割6分7厘と苦しんだ。自主トレでは体幹トレーニングに約1時間みっちり費やし、体作りを徹底する。

昨季セ・リーグで「3割・4割」を達成したのは広島鈴木誠のみ。過去に2度達成しているダブルの大台へ。「強い体を目指していく。キャンプが楽しみです」。自主トレで積み重ねた地道な日々が、万全の状態で迎える球春へとつながる。【小早川宗一郎】