球界の功労者をたたえる「2022年野球殿堂入り」が14日、野球殿堂博物館から発表され、プレーヤー表彰で元中日の山本昌氏(56)が殿堂入りを果たした。

殿堂入りの一報を受けた瞬間を、山本昌さんは「混乱する感じでした」という。有資格2年目での殿堂入りは09年若松勉氏以来の栄誉だ。中日一筋。50歳までマウンドに立ち続けた。真っ先に挙げた恩人が、ドジャースでオーナー補佐のアイク生原氏(本名・生原昭宏氏)だ。

プロ5年目の1988年に星野監督から野球留学を告げられ、現地で同氏に学んだのは「ボールを上から投げなさい。前で離しなさい。低く投げなさい。ストライクを投げなさい」の4点だったという。「知っていたけど、それができていなかった」。名投手フェルナンド・バレンズエラの得意球スクリューボールを習得して帰国すると、プロ野球人生に光明が差し込んだ。「球が遅いというのは褒め言葉。球が速くない少年たちは希望を持って頑張ってほしい」と話した。

四球を出すたびにベンチを蹴り上げる闘将星野に勝負の厳しさを学んだ。「辞める時に初めてほめてもらいました」。そして自身が仕えた殿堂入り監督を挙げて謝意を言葉に乗せた。「星野さんは厳しい人で、高木さんは一人前の投手として扱ってくれた。山田さんは特別扱いせずに引き締めてくれました。落合さんからは同じ力ならおれは経験のある投手を使うと言われました」。名将と出会ってのし上がった男は、近い将来、監督として率いる夢についても「恩返しがしたい」と意欲をにじませた。【寺尾博和】

▽中日立浪監督 長く一緒に現役をやらせていただいた。50歳まで現役をされたのはすごいこと。まねできない。根気よくずっと練習していた印象が強い。自分は40歳までしかやっていないが、年齢がいくと根気がなくなる中で、現役にこだわったのは素晴らしいこと。200勝も超え、当然の殿堂入りだと思う。