「菅野塾」の成果は上々! 阪神藤浪晋太郎投手(27)が26日、鳴尾浜のブルペンで熱投し、変わり身に自信をのぞかせた。年明けから巨人菅野主催の合同自主トレに参加し、軸足の使い方についてヒントをゲット。この日はブルペン捕手からも「変わったな」と認められたという。背水のプロ10年目は開幕ローテ5、6番手を争う立場。キャンプ序盤の猛アピールへ、手応えを胸に沖縄へ飛ぶ。

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冬の穏やかな日差しに、充実感漂う表情がよく映える。藤浪は「投げている映像を見ていないので分からないですけど…」と前置きした上で、控えめな言葉の中に手応えをにじませた。

「例年に比べて状態はいい。受けてもらっている捕手の方には『変わったな』と言ってもらえますし、変わっているんじゃないですかね。意識的に形を変えているわけではなく、使い方のイメージを変えているだけなので、自分では分からないですけど」

前日25日に続き、この日は鳴尾浜でブルペン入り。気温10度前後の陽気にも後押しされ、捕手を座らせて53球を投げ込んだ。ノーワインドアップから全球種をチェック。「体の状態はいい。ボールも安定している。全体的にいいバランスで投げられている。沖縄に行けば、もうちょっと球速も出ると思う」と納得した。

年明けから2週間弱、巨人菅野らと沖縄の宮古島、伊良部島で体をいじめ抜いた。宿敵の大エースから「右足がつぶれてしまうような動作が強い」とアドバイスを受け、再現性、安定感を高めにかかっている最中だ。「ブルペンでもその辺りを体現できている。トレーニングの成果も出ているのかな」。長年の課題でもある制球難の克服へ、前向きな言葉が次々に並ぶ。

昨季は3勝どまり。背水のプロ10年目は1軍キャンプ地の沖縄で開幕ローテ5、6番手を激しく争う必要がある。直近の照準は2月3日、5日に行われる実戦形式。「(キャンプ)後半まで投げないような立場ではない。どちらかで投げると思って仕上げています」。8日には今季初の対外試合となる日本ハム戦もある。沖縄入り直後のデモンストレーションへ、早くも闘志はみなぎっている。

キャンプでは結果を求めるのか? そう問われると、間髪入れずに覚悟を返した。「当然です。そうじゃないと、2軍に落ちてしまうので。キャンプでブルペンに入ったり実戦に入ると、力みが出てくる。ぐちゃぐちゃにならないようにしたい」。もう同じ轍(てつ)は踏まない。大器の逆襲劇がまもなく南国で開演する。【佐井陽介】

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◆阪神藤浪のここ数年の自主トレ◆

▼17年 3月開催のWBC代表メンバー入りし、年明けからハイペースで調整。1月17日には例年より2週間ほど早く初ブルペン。23日にはフォークも解禁した。

▼18年 1月に初の海外トレを行う。米国テキサス州に拠点を移し、ダルビッシュやドジャース・カーショーらと合同トレ。帰国翌日の23日に鳴尾浜で捕手を座らせ33球。メジャー屈指の左腕カーショーから学んだカーブを試投した。

▼19年 18年12月に親交のあるJRA騎手・武豊が総合プロデュースする「テイクフィジカルコンディショニングジム」でトレーニング。著名な理学療法士からも指導を受けた。1月22日には、鳴尾浜で81球を投げ込む。腱(けん)や体の使い方を指導する野球専門プロ施設「ベースボールメディカルセンター」の相沢一幸氏が視察。ブルペン投球を撮影した。

▼20年 19年12月に沖縄で行われた5日間の「ドライブライン・ベースボール」セミナーに中日藤嶋らと参加。米国から来日した専門家によって動作解析などに取り組む。20年1月は15日から鳴尾浜で3日連続ブルペン入りするなど精力的に投げ込む。

▼21年 1月に初めて初動負荷トレーニングの研究施設「ワールドウィング」の門をたたく。イチロー氏ら超一流選手たちが長年通い続けた鳥取市内の施設に足を運んだ。25日には鳴尾浜でブルペン入りし、ワインドアップ投法で周囲を驚かせた。栄枝を相手に72球。キャンプでも同投法に挑戦した。