“鷹の早慶戦”で、ルーキーが快勝だ。ソフトバンクのドラフト2位、正木智也外野手(22=慶大)が宮崎春季キャンプの第1クール最終日となった3日、“プロ1号”を放った。

初めて投手が登板するフリー打撃で、早大出身の大竹耕から13スイングで安打性の打球を5本マーク。そのうちの1本が、左翼越えの本塁打となった。「インコースの球にうまく回転できた。すごく感触が良かったです」と、自慢の長打力をいきなり披露した。

藤本新監督の下で「競争」をテーマにする今キャンプ。この日が初の実戦形式だった。正木は初めてプロの投球を目の当たりにし「思っていた以上に真っすぐが来ていて、球速以上のもの、打席に立たないとわからないものを感じました」と圧倒されかけた。それでも、キャンプ初日に王会長から「本番に強いタイプだね」と直接ほめられた対応力で、東京6大学リーグ通算10本塁打の打力を発揮。「最初に結果を示す場が今日だった。自信になりました」と“早慶戦”でのアピールに胸を張った。

正木にとってスポーツ界の伝統の一戦は「特別なものがあります。リーグ優勝、日本一、そして早大に勝つことを目標にやってきた」という舞台だ。先発ローテーションを狙う早大出身の5年目左腕との対決に「打席に入る前に『取材で聞かれるな』と、ちらっと思いました」と予想も、対戦が始まれば打席だけに集中した。

チーム1号は栗原に先を越されたが、この日の柵越えは2人だけ。この先さらに、激しさを増すアピール合戦に向けて「選手層が厚い中で、ぼく自身もレギュラーを狙ってやっていくという気持ちは変わらない。新人とかは関係なく、1つのポジションを目指してやっていきたい」と、気合は十分だ。【山本大地】

◆正木智也(まさき・ともや)1999年(平11)11月5日生まれ。東京・大田区出身。池雪小2年時から野球を始める。世田谷西シニアで通算30本塁打。慶応では高校通算50本塁打。慶大では通算71試合で59安打、10本塁打、45打点。50メートル走6秒4。遠投110メートル。目標の選手は巨人坂本。182センチ、91キロ。右投げ右打ち。