“魔球”で大先輩を驚かせた。日本ハムのドラフト5位、畔柳亨丞投手(18=中京大中京)が17日、ブルペンで投球練習に臨んだ。途中で稲葉篤紀GM(49)が打席に立ち球筋をチェック。高校時代は「捕手が取れなかった」ため封印してきた無回転フォークを披露すると、その不規則な変化に同GMから「魔球やないかい」と絶賛された。秘めてきた武器に磨きをかけ、プロでの躍進につなげる。

同じ中京大中京の先輩で、昨年の東京五輪では侍ジャパンを金メダルに導いた名将からの賛辞に、テンションが上がった。畔柳は「母校のレジェンド。偉大な方。雲の上の存在のような方に褒めていただいて、すごくうれしい」と喜んだ。

独特なフォームから繰り出される“畔柳ボール”。本人は「フォークと同じ握りなんですけど、リリースのところが、ボールを置いてくる感じで投げる。ちょっと揺れながら落ちる」と説明した。打席で目の当たりにした稲葉GMは、未知の軌道に驚きを隠せない。「揺れていた。見たことがない。プロの捕手でも取るのが難しそうだった。接点が分からなかった。(元ロッテ)小宮山さんのシェイクに近い系で、もっと速いボールというイメージ」と振り返った。

畔柳は「稲葉さんが打席に入られたことで、いい実戦に向けた練習になった。ビッグボスにも『ナイスボール』と言っていただき自信になった。1つの武器にしていけたら」。07年首位打者、最多安打、ベストナイン5回を誇る同GMをうならせた宝刀で、チャンスを切り開いていく。【永野高輔】