ロッテ佐々木朗希投手(20)が、いきなりたたき出した。練習試合・日本ハム戦(名護)に先発し、自己最速タイの163キロをマーク。

今季初の実戦マウンドで、大船渡高時代に記録した数字に並んだ。直球の平均球速は160・18キロで、日本ハム新庄剛志監督(50)の存在感を薄くするほどの剛球を連発し、2回を2安打無失点。小島和哉投手(25)とともに開幕投手の有力候補に挙がる右腕が、インパクト十分のピッチングを披露した。

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常識じゃ測れない。佐々木朗の今季初実戦。その初球に、プロ入り後最速の161キロを投げた。気温20度とはいえ、まだ2月。ヨーイドンで折れたバット、衝撃の数字に、擬音語のはずの「ザワザワ」が本当に聞こえるかのようだった。

空気の変化は右腕も感じた。ネット裏の球速表示は自身の球速感覚とズレがあり「速く出ちゃうかなとは思っていましたが、そこは気にせず投げました」。松川のミットに集中し、8球目に自己最速に並ぶ163キロ。スタンドからの拍手をよそに「数字は別として、球自体は良かったと思うので」。2回の18球目に再び163キロを計測したが、この時はざわめきも拍手もなし。全26球中、160キロ超が16球ともなれば、当然ともいえる光景だった。

新庄監督率いる日本ハムとの一戦。井口監督は「ザワザワするでしょうけど」と独特な雰囲気を予感していた。一転、想像を超える展開に「(今日は)朗希のスピードの方がザワザワじゃないですか。朗希の勝ちじゃないですかね」と剛球ショーを評した。

佐々木朗は「細かい制球は気にしないで、どんどんストライクゾーンで」と振り返った。言葉通り、この日の1球目は右打者の外角要求とは逆へ入るも、「(球が)垂れているわけではないと思うので。シュート回転は分かっているし、強い球がいっているので、そこはいいかなと思います」。球威十分に内角に食い込みバットを折った。あくまで初実戦。右肩上がりにクオリティーを高める。

出力の余地は「まだ分からないです」としたが、変化球には明確に進化が表れた。カーブを試しつつ、スライダーは自己最速を3キロ更新する148キロをマーク。次回登板も「細かいところはあまり気にせず、徐々に感覚を磨いていければ」と己を貫く。いつ投げるか、どれほど勝つか。それ以上に、次の球はどんな1球になるのか-。見る者をゾクゾクさせる1年になる。【金子真仁】

○…佐々木朗の投球に他球団関係者も驚いた。オリックス三輪スコアラーは「去年と比べてものすごく進化している。160キロ近い体感は絶対にある」とビックリ。西武亀井スコアラーは「おそらく、170キロを目指せるのでは。今年に関しては、山本由伸と最多勝を争える唯一の存在になるだろうと思います」と早くも警戒を強めていた。