日本ハム清宮幸太郎内野手(22)が26日、ソフトバンク2回戦(ペイペイドーム)で、1軍公式戦では517日ぶりの本塁打を放った。

9回に右翼席中段へ今季1号ソロ。新庄剛志監督(50)の4番起用に応えた。チームは開幕2連敗も、今後へ光明が差したアーチとなった。

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勝利の瞬間を待つ敵地のファンが一瞬、静まり返っていた。9回1死。「ガシャン!!」という衝撃音が球場に響いた。清宮だ。「打った瞬間、いったと思いました」。1軍では20年10月25日楽天戦以来の感触。打球を見届けた同じ方向に師匠もいた。

清宮 本当にギータさんがライトでよかったです。まさか、本当に言った通りにギータさんの上に打てると思ってなかった。

73日前、佐賀・嬉野で合同自主トレを行う柳田に、「(開幕戦で)柳田さんの前で1発かましてやりたいと思います」と、誓った。前夜は出番がなかったが、この日が「自分にとっては開幕戦」。5回の守備中には、出塁した師匠から一塁塁上で「状態よさそうだから自信持っていけ」と背中を押され、宣言通りのアーチを描いた。

4回の右翼への大ファウルでは初リクエスト(結果は失敗)したBIGBOSSも、こんな清宮の姿を待っていた。「“割れ”ができている。俺はずっと“割って”ほしかった」。グリップの位置を捕手側に引いてタメをつくりながら、下半身は投手方向へとステップして均衡をつくることで、弓を引いたような状態になるのが「割れ」。20日に札幌ドームで「ニュー清宮でいこうか」と、稲葉GMとともに助言したリラックスした構えも「割れ」をつくるため。タイミングの取り方やボールの見え方も改善し、求めていた清宮の打撃に新庄監督も「完璧、ね」と笑顔を見せた。

試合前には早実OBのソフトバンク王会長へあいさつ。フォームを気にしすぎていることを指摘されたうえで「相手との駆け引きだったり、球の軌道をもっと意識してみたらどうだ」とアドバイスされた。周囲の温かい支えの中で生まれた2年ぶりのアーチ。「日々、アドバイスをして頂いているおかげかなと思います」と感謝した。

新庄監督は27日も「4番でいこう。4番ショート清宮君で」と笑った後に「明日4番、ファースト清宮君。そこから(打線は)並べていきます」と宣言。1軍出場も2年ぶりとなったこの日、スラッガー清宮のプロ野球人生は再び前に進み始めた。【木下大輔】