中日立浪和義監督(52)が初勝利を手にした。延長10回2死満塁から、溝脇の決勝2点適時打で巨人に逆転勝ち。「ほんまによう勝ったな」と監督就任初勝利に表情を緩めた。

【ニッカン式スコア】27日の巨人-中日戦詳細スコア

まさに総力戦だった。4時間3分。ベンチに残っていた野手は桂と根尾しかいなかった。ベンチに選手を迎え入れると、自ら先導して左翼席で拍手を送る中日ファンへ一礼した。

初勝利は難産だった。「1、2戦目がああいう負け方をした。予想以上にいろんなことが起きすぎた。こういう試合に勝てたのは大いに自信にしてもらいたい」。開幕戦はエース大野雄が崩れた。2戦目も先発勝野が粘投し、勝利の方程式につないだが、セットアッパー岩崎が故障降板。2戦連続で逆転負けを喫した。この日も昨季投手2冠の柳が初回に4失点。不利な展開から2点差の9回、大島の2点適時打で追いついた。延長10回2死一、二塁でも代打平田が四球を選び、溝脇が決めた。「みんなの力で勝った1勝。とりあえずスタートを切れた」と、表情を緩めた。

ウイニングボールは最終回を締めたR・マルティネスから受け取った。現役時代の記念球は知人らに渡し、自宅に残す記念球は2000安打、1000打点くらい。「自分の(記念)球はお世話になった方に飾ってもらえる。チームがくれたボールは大事に、家に飾ります」。新たな家宝を握りしめた。

恩師星野仙一氏は就任初年度の87年、敵地後楽園で巨人と開幕戦だった。くしくも今回と同様、2連敗のあと初勝利をつかんだ。「早く自分も、勝負勘も養っていかないといけない」。ミスタードラゴンズが、竜の指揮官としての第1歩を踏み出した。【伊東大介】

○…清水が同点の9回1死一塁で福からバトンを受け登板。後続2人を抑え、2年ぶりの白星をつかんだ。26日にセットアッパー岩崎が故障でリタイアしたばかり。試合前に立浪監督からリードしている8回に使うと代役を指示されていた。「言われたときが一番緊張しました。しびれる場面だったけど、こういう場面で使ってもらえる機会はなかったのでやりがいを感じた」と、リリーフでの初勝利を喜んだ。

▽中日溝脇(途中出場で10回決勝の左前2点適時打)「ヒヤヒヤしながら走った。チーム一丸で、最後まで諦めない姿勢が結果につながった。

▽中日柳(初回4失点を含む7回10安打5失点)「立ち上がりから自分らしい投球をすることができなかった。その後も、その投球を変えることが難しかった。

▽中日R・マルティネス(10回3者凡退に抑え初セーブ)「連敗を止め、立浪監督にウイニングボールを渡すためにブルペンから全力で行った。チームが勝って本当にうれしい。

▽中日阿部(5回1号ソロ)「とにかく積極的にいこうと思って打った結果です。

▽中日鵜飼(8回1死一、二塁でプロ入り初タイムリーの二塁打)「打てたことはうれしいです。でも、その前のチャンスに打つことが出来なかったので…。最低限(の仕事は)できたと思います。

▽中日大島(9回同点右前適時打) いいところに打てて良かった。

◆延長試合 昨年の日本シリーズで延長戦が行われたが、公式戦で延長戦は20年11月7日の楽天-西武戦(楽天生命パーク)以来。20年は延長10回打ち切りの特別ルールだった。