矢野阪神が早くも「V率0%」の危機に立たされた。5回に4番佐藤輝明内野手(23)が適時二塁打を放つなど2点を先制したが、リードを守れず。打線は10安打を放ちながらも2得点だけとつながりを欠いた。首位広島とは6ゲーム差。阪神がこれまで優勝した年の最大ゲーム差は64年の6・5差。開幕6連敗から優勝したチームは球界で過去に1度だけ。早くもデッドラインに王手となった。

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虎党の涙雨がマツダスタジアムにこぼれ落ちた。阪神が3試合連続の逆転負けで悪夢の開幕6連敗を喫した。試合終了後、ベンチ裏から出てきた矢野監督は言葉を絞り出した。「みんな何とかしようという気持ちでやってくれているのは俺も分かる。でも、プロである以上結果がこれでは良かったということにはならない」。同じく開幕から連敗中だった新庄BIGBOSS率いる日本ハムが今季初勝利。12球団で唯一、阪神だけが今シーズンの1勝目にまだ届かない。

V率0%のデッドラインに足をかけてしまった。過去に開幕6連敗で優勝したのは60年大洋(現DeNA)の1度しかない。阪神はこれで首位広島とあっという間に6ゲーム差まで開いた。猛虎の長い歴史の中でも、これまで優勝した年の最大ゲーム差は64年の6・5差。開幕6戦目で早くも限界ラインに立たされた。

攻めきれない。フラストレーションがたまる。2回1死満塁から9番秋山の遊ゴロの間に1点を先制。5回には4番佐藤輝の2戦連続適時打となる右越え適時二塁打で2点目を奪った。ただ、その後がつながらない。大山の四球で2死一、二塁としたが、続くロハスが外角球を捉えきれず三ゴロ。その裏に2-2の同点と追いつかれただけに、矢野監督も「あそこで一気にまたね、2点、3点っていければ、もっともっと勢いもいいんだろうけど…」と思案顔だ。

広島3戦目の夜も開幕戦以来の2桁となる10安打を放ちながら、スコアボードには2得点しか刻めなかった。開幕6試合を終えてチーム総得点がリーグワーストの15得点。3番マルテ、6番ロハスの打率はともに1割台に沈むなど波状攻撃が出来ない。1日からは東京ドームに乗り込み、宿敵と対戦する。虎ナインは1リーグ初年度の1936年、大阪タイガースの復刻ユニホームを着用して戦う。矢野監督は「自分で流れを変える努力を明日以降も何とかしていかないと」と悲壮感たっぷり。虎の意地を見せろ! とにかく勝ってくれ。【桝井聡】

◆60年大洋奇跡の逆転優勝 前年まで6年連続最下位の大洋は、知将・三原脩監督を迎え巻き返しを図った。開幕6連敗を喫し、同時期に6連勝した中日から6ゲーム差をつけられた。4月中旬にエース秋山が故障から復帰すると、6連勝し波に乗る。6月下旬に8連勝で首位浮上。巨人、阪神と競り合いながらも、9月に5連勝と6連勝で混戦を抜け出しVを決めた。

▼阪神の開幕6連敗は球団初。過去3度あった5連敗を塗り替えた。球界では、21年DeNAが2引き分けを挟み6連敗して以来。開幕6戦6敗となると、09年横浜(現DeNA)の6戦6敗以来、13年ぶり。

▼開幕連敗のプロ野球最長は12連敗で、いずれもパ・リーグの55年トンボ(消滅)と79年西武(2引き分け挟む)の2度。セ・リーグでは、79年ヤクルト8連敗(1引き分け挟む)。

▼優勝球団の開幕連敗プロ野球最長は、60年大洋(現DeNA)の6連敗。今季の阪神が優勝すれば、このときと並び球界最大の逆転Vとなる。

▼阪神の最大逆転Vは、64年の6・5ゲーム差。前半戦82試合を消化した7月18日に首位の大洋(現DeNA)から引き離されたが、球宴明けに挽回した。阪神は1日の結果次第で、開幕7戦目にして早くもこのデッドラインを越える恐れが出てきた。