巨人の新守護神が堂々たる7球締めで、球団の新人最多セーブ記録に並んだ。

ドラフト1位の大勢投手(22)が1点リードの9回に登板。広島打線を3者凡退に抑え、角三男が持つ78年の新人最多タイ記録となる7セーブ目をマーク。2日の阪神戦で塗り替えた、デビューからのプロ野球連続セーブ記録も7に更新し、巨人の今季初連敗と阻止にも貢献した。多くの支えを力に変えてきたワイルド守護神の快進撃が、止まらない。

   ◇   ◇   ◇

新守護神・大勢があっという間に試合を締めた。「(記録は)知ってたけど、特に意識することはなかった」。150キロ台の直球3球で2死を奪うと、広島の代打宇草には144キロの外角高め直球で空振り三振。グラブをたたき、右拳を握った。44年前の角三男の球団記録にわずか7試合で肩を並べ「自信を持ってマウンドに上がろうと。今日はよかったかなと思います」と自らに合格点を与えた。

師匠との固い絆がある。関西国際大4年の春、右肘肘頭骨を疲労骨折。5カ月後に迫るドラフト会議がちらついた。手術したら間に合わない。プロには行けない。手術すべきか、しないべきか…。悩みに悩んだ。

そんな時、友人に個人トレーナーの萩原淳由さん(36)を紹介された。思いの丈をぶつけると、投球フォームをひと目見てもらうことになった。「これじゃ、ケガをする。手術しても同じ」と一蹴された。決断の前に、フォームを一から見直し、ウエートトレーニングで出力に耐えうる体作りに着手した。すると、身をもって状態が良くなるのを体感できた。「手術はしない」と決断した。

選択を正解にするための覚悟も決まっていた。地道なトレーニングで作った体で、江川卓氏のような“股関節投法”の新フォームに変更。4年秋に最速157キロと5キロも球速が上がり、プロ野球への門をドラフト1位で切り開いた。

1月に巨人に入寮するまでの期間も変わらない。兵庫・多可町の実家から同氏が経営する光線療法&トレーニングジム「Rebirth」まで大阪・羽曳野の120キロの道のりを車で通った。周囲が真っ暗な午前3時に出発し、午前5時から汗を流す時もあった。

この日の大記録も師匠なしでは語れない。「(今も)二人三脚でやっている。毎試合、修正や良かった所、こうしたらもっとよくなるとか考えながら準備しています」。師弟で目指すのは「富士山ではなくエベレスト」。頂点だけを見据える。【小早川宗一郎】

◆大勢(翁田大勢=おうた・たいせい)1999年(平11)6月29日、兵庫・多可町生まれ。西脇工では2年秋からエース。甲子園出場はなし。関西国際大では2年春からリーグ戦出場。3年秋、4年春は故障で1登板のみも、4年秋に復調し157キロを計測。21年ドラフト1位で巨人入団。今季開幕戦で初登板初セーブを記録した。181センチ、88キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1600万円。

▽大勢(翁田大勢)

◆生年月日 1999年6月29日

◆出身地 兵庫県多可町

◆球歴 西脇工-関西国際大-巨人

◆ドラフト 21年1位

◆1年目成績 7試合0勝0敗7S 防御率3・86

◆通算成績 7試合0勝0敗7S 防御率3・86

◆投法・投打 右のスリークオーター 右投右打

◆サイズ 181センチ、88キロ

 

▽角三男

◆生年月日 1956年6月26日

◆出身地 鳥取県米子市

◆球歴 米子工-三菱重工三原-巨人-日本ハム-ヤクルト

◆ドラフト 76年3位(入団は78年)

◆1年目成績 60試合5勝7敗7S 防御率2・87

◆通算成績 618試合38勝60敗99S 防御率3・06

◆投法・投打 左のサイドスロー 左投左打

◆サイズ 183センチ、86キロ

巨人ニュース一覧はコチラ>>

▽巨人原監督(大勢について)「(相手が)初球からどんどん打ちに来ているというのは(大勢に)あまりいい印象を持っていないんでしょうね。今日の疲れは今日のうちに取るというのが、リリーバーとして非常に重要な仕事でもある。そこは日々、新たなものと対面しながら成長していってくれればいいと思います」