日本ハム北山亘基投手(23)が、誕生日にサヨナラ白星を手にした。10日楽天3回戦(札幌ドーム)の2-2の9回から登板。10回のマウンドにも上がって2イニングを無安打無失点に抑え、近藤健介外野手(28)のサヨナラ打への流れを引き寄せた。チームは今季2度目のサヨナラ勝ちで自身は2勝目。負ければ球団史上最速での2ケタ借金となっていたが、ドラフト8位ルーキーが救世主となった。

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「教授」こと北山が、ヒーローインタビューで絶叫した。「僕の下の名前はコウキっていうんですけど…サイコウキです!」。京産大時代に好投すると、チームメートから「サイコウキやな」と冗談交じりに褒められていた。実は、初勝利を挙げた6日ロッテ戦のお立ち台で“お披露目”するつもりだったが「緊張で言えなかった」。2度目のヒーロで、満を持して叫んだ。

23歳の誕生日。バースデーソングが響いた同点の9回から登板した。「やることは、ビハインドでも同点でも勝ち越しでも変わらない」と、気持ちは揺らがなかった。この回を3人で仕留め、続く10回もマウンドへ。先頭西川に四球を許したが、間合いを取り、後続を断った。2イニングを無安打無失点。サヨナラ勝利への流れをつくった。大学時代には「最悪な誕生日があった」とバースデー登板に苦い記憶もあったが、プロで迎えた“初誕生日”は2勝目が転がり込んだ。

愛称の「教授」は、コーチ陣をうならせる知識量と、堅実な風貌からチーム内に定着しつつある。知識の1ページにあるのが、パフォーマンス向上につながる色。最も状態を上げるのは黄色だという。京都成章高での3年間、愛用していたストップウオッチは黄色だった。「黄色をパッと見ると落ち着いたり、力が抜ける。マウンドで、ちょっと緊張するときはホームランポールを見たりして、落ち着こうとしています」と明かした。

高校時代に指名漏れを味わったが、大卒ドラフト8位でプロの扉を開いた。ルーキーで開幕投手に大抜てきされ、しびれる展開でイニングまたぎを託されるほど、信頼感は増している。「今やるべきことに集中するということを考えていたら結果はついてくる。それが一番大事だと大学で学んだ」。この日のウイニングボールは「サイコウキ」の、最高の誕生日プレゼントになった。【田中彩友美】