確実に、量産の時が近づいている。敗戦の希望は阪神の4番佐藤輝明内野手(23)だ。両軍無得点の6回。先制の3号ソロで均衡を破った。3月6試合はノーアーチだったが、4月の9試合で3発。昨年は4月からの3カ月で18発を放っており、今年も桜の季節に主砲が“満開”の気配だ。

【ニッカン式スコア】12日の中日-阪神戦詳細スコア

2死無走者で大野雄の初球、甘く入った高めのスライダーを逃さなかった。打球は右翼席最前列手前、黒いラバーゾーンへ着弾。「いや~、もう行ってくれ! って感じでした。積極的にいこうと。甘い球を1球で仕留めることができた」。接戦の中、一振りで1点。それも相手エースを打ち砕く一打に「バッティング自体は良かったと思います」とうなずいた。

大野雄からは昨年に続く2発目で通算打率は5割。試合前までチームが過去33度の対戦で15勝(8敗)を献上した天敵左腕も関係ない。9日広島戦では森下から2号。主戦投手を連破し「どんな良いピッチャーでも甘い球は来る。今日はそれを捉えることができた」。4回の中前打で4試合連続安打。ここ3試合のチームの2得点は佐藤輝のソロ2発だけで、自身の状態を「悪くない」と分析した。

今季初、公式戦では昨年10月12日以来、182日ぶりの三塁スタメンで守備も軽快だった。7回裏無死一塁の守りでは溝脇のバスターに動じず打球を処理。2回には京田の三ゴロをランニングスローでアウトに。「どうしても練習が少なくなっちゃうんで、試合前にしっかり準備したい」。外野用、内野用を持ち替え、ノックに忙しい試合前練習の日々を過ごしている。

「やっぱり打って勝ちたい。明日から頑張ります」。1点リードの8回2死二塁では空振り三振。追加点を奪えず、その裏逆転を食らった。マルチ安打の喜びは消え、悔しさをにじませた。何より、勝利を導くアーチがほしい。【中野椋】