阪神西勇輝投手(31)が、甲子園に立ちこめていた嫌な雰囲気を吹き飛ばした。4回の攻撃でミスからまさかのトリプルプレー。球場がざわつく中での5回のマウンドで、2死一、二塁のピンチ。2番鵜飼を外角145キロ直球で見逃し三振。坂本の構えたミットへ糸を引くような球を投げ込み、マウンドでほえた。矢野監督は「流れがあるんで俺も嫌だなと思って見ていたけど、本当に勇輝がよく粘ってくれた。ゲームの流れとしては大きい」と、絶賛するターニングポイントだった。

体の張りなどもあり6回で降板したが、5安打1失点。今季最多の10奪三振で3戦ぶり白星の2勝目を挙げた。西勇は「本当に力強い声援をもらった」と3万1726人の虎党の後押しを力にした。阪神移籍後、対中日戦は通算12試合で6勝4敗だが、甲子園での中日戦となると6試合で負けなしの5連勝と、無敵の竜キラーとなる。前日26日が天候不良のため中止となり、スライド登板となった。「昨日が雨だったんですけど、いい状態に整備してくれる阪神園芸さんもそうですし、全員のバックアップがあって投げきることができました」と感謝した。

4年契約でオリックスから移籍した入団会見で「やりがいを感じられる球場。思い入れもある」と話した。プロ3年目の11年のプロ初勝利も甲子園での楽天戦だった。移籍後、大好きな甲子園では33試合投げ、15勝7敗、防御率2・46と数字もしっかりと残している。

チームを今季2度目の連勝に導いた。借金はまだ14も抱えるが「本当に巻き返すしかない。全員、本当に勝つ気は失っていない」とお立ち台でナインの気持ちを力強く代弁した。昨年は6勝と苦しいシーズンだったが、今年の西勇は頼りになる。【石橋隆雄】

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