阪神が乗ってきた!逆転で今季初の3連勝だ! 2点を追う4回、糸井嘉男外野手(40)が反撃のタイムリー&神走塁で勝ち越しの生還で3得点。前日走塁で凡ミスを犯し、チーム23年ぶりの三重殺を食らって戦犯になりかけたベテランが、一夜で名誉挽回を決めた。チームは今季初の2カード連続勝ち越しで、29日からは敵地で首位巨人と3連戦。上昇気流をつかんだ虎が、12ゲーム差を縮めに東上する。

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超人糸井は衰えを知らないのか。決勝点はチーム最年長40歳の“神走塁”でもぎ取った。2点を追う4回に自身の適時打などで追いつき、なお1死二、三塁の場面。中日内野陣が前進守備を敷く中、坂本の打球は遊撃堂上の正面に飛んだ。ゴロゴーのサインに三塁走者の糸井は猛然と本塁に突進。「前に転がったら、絶対にホームにかえってくると思って準備していた」。

だが、タイミングは完全にアウトだった。それでも送球が一塁側にそれた隙を逃さず、捕手木下のタッチをかいくぐって、左足でホームをはいた。立浪監督がリクエストしたが、審判が両手を横に広げると、3万5221人の甲子園が大歓声で揺れた。矢野監督は「どんな形でも、点を取って勝つことがチームにとって大事」と、泥臭い野選で奪った決勝点をたたえた。

糸井は前日27日、あわや戦犯になりかけた。4回無死一、二塁で高山の一直に飛び出した一塁走者山本が戻れず併殺。このとき、二塁走者の糸井もアウトカウントを間違え、ベンチへ戻りかけた。慌てて帰塁したが間に合わず、チームは23年ぶりに三重殺を食らった。試合は3-1で競り勝ったが、負けていれば敗因と指摘されても仕方ない場面。矢野監督も「本当に恥ずかしいプレーだし、あってはならない」と厳しい口調で苦言を呈すほどだった。

だが、超人は一夜で失態を取り返した。2回の第1打席で大野雄から左前に運ぶと、2点を追う4回無死一、三塁では右前に適時打して反撃の口火を切り、神走塁生還で逆転を完結させた。「輝の激しい打球を見た直後だったので刺激を受けた。続きたいと思った」。ウル虎ユニホームに描かれた虎の鋭い眼光のごとく、17歳下の近大の後輩4番に負けじと獲物を仕留めた。前日からの5打席連続安打で男の意地を体現した。

3連勝が今季初なら2カード連続勝ち越しも今季初めて。状態を上げ、29日から首位巨人が待つ東京ドームへ乗り込む。借金13でゲーム差はまだ12あるが、前回の3連戦でも糸井は11打数4安打、打率3割6分4厘、1本塁打、4打点と大暴れした。「とにかく毎日勝てるようにやっていくだけ」。上昇気流をつかんだチームを、40歳の元気印が引っ張る。【石橋隆雄】

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