熱く、冷静に、17点打線を抑える。阪神西勇輝投手(31)が、泰然自若の投球で今季のチーム広島戦初勝利を導く。10日に先発予定の右腕は甲子園で調整。相手は8日に21安打で17得点を挙げた強力打線だが「別に(意識の)変化はない。淡々と仕事をすることを心がけています」と静かに闘志を燃やした。広島戦はセ・リーグのカード別最多の12勝(5敗)。今季初対戦となった前回3月29日も6回2/3を1失点に抑えており、好相性の右腕が平常心で先陣を切る。

プロ14年目。長年ローテーションを守ってきた。「(先発として)1年間25試合、投げ切るのが仕事。勝つのも大事ですけど、投げ続けることはもっと大事」。相手打線が好調だから、自軍が勝てていないから。周囲に左右されず、無心でマウンドで腕を振るだけ。一喜一憂しない。防御率はセ界トップの1・98でリーグ唯一の1点台。長いシーズンを戦い抜く術(すべ)が身に染みついている。

ベンチでは違う。声を出し、仲間に思いを届ける。「10回で3回打ったらスーパーバッターって言われるんだから、7、8回失敗するのを見ていたら、難しいなって思う。そういう部分では心の底から応援、バックアップしかできない」。マウンドでベンチで思いを体現し、チームを波に乗せる。【中野椋】

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