世界一奪回へ、禁じ手なし。侍ジャパン栗山英樹監督(61)が14日、首都大学野球を視察した。投打二刀流の今秋ドラフト上位候補、日体大・矢沢宏太投手(4年=藤嶺藤沢)に「全てができる。しっかり走れて、攻撃力もあって、ピッチャーもできる。幅の広さが見えた」と目を細めた。先発では6回6安打4失点も、DHを解除した2番打者として7回先頭で逆転の四球を選んだ。セーフティーを試みる場面もあった。

中止になったが、3月の台湾との強化試合で代表に呼んだ。「外野を守りながら左を挟みたいとき『矢沢、頼む』みたいな」と、外野からの1ポイントリリーフ的な起用イメージを持っていた。日本ハム監督時代も似たケースを考えていた。「右左右と続くとき(リリーフ左腕の)宮西に右のところだけ外野を守ってもらうとか」。メンバーが限られ、投手の球数制限があるWBCでは、二刀流選手の存在感はさらに増す。

テレビでのプロ野球チェックと並行して、今はアマの現場に足を運ぶ。ほぼ初見の選手を見ることで、世界大会に通じる勝負勘を研ぐ狙いもある。「勝つ確率が高いなら、何でもしてやる。そういう戦い」と強調した。栗山監督が抱く二刀流のスタイルは、エンゼルス大谷のような「4番&先発」に限らない。【古川真弥】